第7話 私6

満足に液体を集められた私は、新鮮な空気の方へ急ぐ。この気流を辿って飛べばいい。


と、ぶつかる。気流があるので進めるはず。だがあちこち当たってみてもどこも同じではじかれてしまう。当惑した私はどどまって様子をうかがう。

気流は確かに流れていて、向こう側からの新鮮な食べ物の香りも運んでくる。

私はその気流に気を取られ、背後からの気配に気づかなかった。


体は押し付けられた。周りは柔らかく、細い私は潰される事はなかった。しかし、私を押し付けている物が、そのままの圧力で移動し始め、体は回転し徐々に潰され丸められていった。私は痛みを感じない。動かない体。押し付けていた物の端まで来ると、私の体はポトリと落ちた。

もう少しなのに。

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