第6話 私5

ここは、塊達の集まる場所か。広い空はないが濃厚な良い匂いに満ちている。


私は気づかれる事なく、存分に液体を集められた。必要のない上澄はその場で捨てる。が飛び立ってみると、重い。耐えきれず、すぐに降り立ってしまう。


少し集めすぎたか。

なんとか力を振り絞り。安心できる暗がりにたどり着く。体は重いが充足感に満たされている。ひどい眠気だ。体が休むことを決めている。今は動く時ではない。


ふと気づくと、身が軽い。袋は半分くらいの太さになっている。さぁ、次だ。次に私を呼ぶ物がある。行かなくては。水を探せ。


この辺りでは食物の香りはしない。しばらく食事はしていないが、空腹は感じない。

水の香りにひかれて辿り着いてみたが、期待した物はない。

しかし、ここは薄暗くて安心できる。疲れてきたので壁に留まる。そこは今までにない感触だった。だが私達はいくらツルツルと足掛かりが無いようでも留まれる。


一息ついていると、突然に気流がおこりパッと明るくなる。

今は動かない方がいい。目立たないようにしてろ。そんな思いに身を縮める。


だが、周りは光を反射する白だ。私の体ははっきりと目立っていた。


バンッ

という音と振動を、暗闇迫る中の私は聞いただろうか。ツルツルの白い壁面には、私の集めた液体が赤い曲線を描いている。


もう少しだったのに。

次の私へ。




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