第3話 東彩華の秘密
「一緒に勉強しない?」
「え?良いの?」
嬉し気に彼が反応した
「うん。良いよ。私も一緒に勉強したいって思っていたし。空いてる日ある?」
「今週はきついけど、来週の月曜とかだったら空いてるかな」
「オッケー」
なぜか彼と話していると時間が早く感じている。なぜだろう?本当に分からない。
「時間的にももう遅いから、私帰るね」
「うん。今日はありがとう」
「こちらこそ、ありがとう」
こんなにも気持ちが弾んだのは久しぶりだ
余命宣告されてから気持ち的にしんどかったからである。
彼氏ができたけど、、、。
*****
学校での暮らしはとても楽しい。でも、やはり、体はついてこない。気持ち的には、元気なのに体だけはたまにしんどくなる。そんな日は私にとってつらい。友達はみんな、私は何もない“普通の人”だとしか思っていないのかもしれないけど、私にとっては周りに比べてまったく違う存在で、もうすぐ死ぬ人なんだ。
そんなことを不意に考えてしまった。なぜだろう?
私がこんな人なんで知ったら、海翔君はどう思うだろう?そう思っているからかな?
「彩華、ごはんできたよ」
お母さんのその一言に驚いた。
「はーい。」
冷静に返事をするため、一度、気持ちを落ち着かせた。
お母さんには、彼氏ができたことは知らさないようにした。
もうすぐ死ぬ人に恋人ができたら、その人に迷惑がかかると思っているからだ。
彼氏が出来たことは言わないように気をつけながら、ご飯を食べよう。
「彩華、最近、調子どう?」
「かなり良いよ。毎日、学校楽しいし」
「なら良かった」
「どうしたの?」
「いや、なんとなく」
お母さんの調子が変だ。
変なものでも見つけたかのような顔をしていた。
そんなこんなで夕食を食べ終わり、自分の部屋に戻った。
「急にどうしたんだろう?私って、そんなに顔に出るタイプだったっけ?」
「バレたらどうしよう。でも、私のしたいようにさせてくれるよね。もうすぐ死ぬんだし」
「はあ」
部屋中に響くような大きなため息をした。
*****
次の日
「おはよう。東さん」
「おはよー。海翔くん」
「海翔くんて。馴れ馴れすぎ」
「えー。なんで?良いじゃん」
「いやだよ。周りにこいつら付き合ってるてバレるじゃん」
「バレても良くない?」
「いやだよ。友達に彼女がいるって、いじられるじゃん」
「自慢したりな。その友達に」
まるで、周りに知らしめているようだった。
「お昼、私の友達もいるけど、一緒に食べる?」
「そうだね。一人も寂しいし」
「オッケー。じゃあ、4限目が終わったら、屋上に来て」
「はーい。じゃあ、また」
「うん。また、後でね」
キラキラ笑顔で自分のクラスに入った。
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