第41話



ザッと足音が聞こえてそちらに視線を向けた。

中森も振り返り、路地に入って来た人物に顔を向ける。






「こんなところに女1人でいたら危ないんじゃねぇの?」


「あら、ご忠告ありがとうございます」






中森が入って来た男ににっこりと笑みを返した。

細い通路で、中森の後ろにいる私に男の顔は見えない。





「それとさ、」






ザッ、ザッ、と近寄って来て、男は何かボソリと言った。



私には聞こえなかった。

繁華街の賑わう声が路地にも響いているせいだ。





「ぁ……」






中森の顔が青ざめた。

微かに震えているのがわかる。










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