第26話



どんなに想ったって壁がある。

越えられなくて、変えられなくて。

伝わらなくて、届かなくて。





「子供なんていらねぇから、一緒にいたいだけなんだって言っても、樹は藤也の言うことを一切聞かなかった。


あんたがなに言ったかは教えてくれなかったけど、そんな樹がひさびさにスッキリした顔してたよ 」



ふっと、嬉しそうに貴都が笑った。

桜がふわりと舞うように、優しくて、暖かい笑みだった。



「流舞」



温かい笑みで、貴都が私の方を見た。








「ありがとう」










私は、何もしていない。

余計なことを言って、余計なことをしただけだ。


しかも、突然ここにお邪魔して、こんなに待遇良くされて。


私はそんな風にしてもらっていい人間では、ないのに。








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