第25話




「見ている世界が違うなんて、それは誰だってそう、ですよ」





それもそうか、と貴都は笑った。






「あいつら、5年くらいなんだよ」





懐かしむように、でもどこか寂しげに貴都の瞳が揺れる。






「でも、付き合ってすぐに樹の姉さんが結婚して子供できてさ。

そっから、少しずつ樹が苦しそうに笑うように

なった」





春の早朝。

ひんやりとした空気の中に、コーヒーとココアの甘い香りが漂う。






《僕は藤也の幸せを奪っている。

だって…だって、僕は男だ。

どうしたって藤也と家族を作ることはできない…。

お互いの家族にも、祝福なんてしてもらえない》




「ずっと、それで3年前からぽつぽつ別れ話切り出されてたらしくてさ。

藤也も参ってきてたんだ」








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