第19話




「盗み聞きみたいにしてしまって、すみません」



そっと、樹の手を取る。

貴都が私にしてくれて、私が安心できたように、そっと、樹の手を包む。



「こんな私言うなんて、余計なお世話だと思いますが…。


異性同士が結婚して、愛し合って、子供ができて、家族を作ることが幸せなら、


子供が埋めない私の知り合いは、不幸せなのでしょうか?」






ポタポタと、手の甲に涙が落ちてくる。






「子供が埋めなくて家族ができないのなら、あんなに愛し合って幸せそうにしている2人でも、


一緒にいることさえ、許されないのでしょうか?」





樹の顔から、笑みが消える。

でも、彼の止まらない涙を救ってくれる手は、今ここにいない。







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