第8話



どのくらい経ったのかはわからないが、いつのまにか目の前に料理が並んだ。



和食だ。




ほかほかと湯気が立ち、とても美味しそうな匂いがする。

そういえば、一昨日から何も食べていなかったということを思い出す。




「……とりあえず、食える分食え」



「………いただき、ます」




ゆっくりと口に含み、噛む。

美味しいはずだ。

これだけいい匂いがして、盛り付けも綺麗で。



それなのに。




──味がわからない。






「おまえさ、いつからあそこいたわけ?」






男性は頬杖をついて問いかけてくる。

ご飯、食べないのかな。






「……さっき声出てたじゃねぇか」







もうお手上げだと言わんばかりに、男は頭を抱えている。





何か言おう、言わなくちゃと思うのに、私の唇は思うように動いてくれない。







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