第7話
脱衣所から出ると、男性はどこかに電話しているようだった。
「……あぁ。……うん。
……あー……まぁ、そうだな。
…それは聞いてみるけど、今日帰すのはまずそうな気がする。……わかった」
電話が終わると、こちらに気づいて近寄ってくる。
「ちゃんとあったまったのか?
…って、髪びちょびちょじゃねぇか」
男性は、タオルで丁寧に私の髪を拭くと、ドライヤーを持ってきて乾かし始めた。
私は、されるがままに、ぼーっとしていた。
「……ん、乾いた。なんか食うか」
髪が乾くと、男はそっと頭を撫でてくれた。
その後すぐ立ち上がり、台所へ向かって行く。
その後ろ姿を、私は見ているだけだった。
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