第1章 太陽を覆う

001

第4話

第1章 太陽を覆う

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「ねぇ、おまえ、………なにやってんの?」





ふと、見ていた空が傘で遮られる。

日が落ちたせいで、こちらを見下げる男性の顔がよく見えなかった。





返事をしようとした。

なにもしていない、ただ空を見ているのだと答えようとした。

唇を薄く開ける。




それでも、それさえ億劫で、けっきょくそのまま唇を閉じて、傘越しに空を見た。






「おまえ、なんか病気?」







男性の声が少し苛立ったような声音に変わる。






けっきょく返事をしない私を見て、大きくため息をつくと、どこかに電話を始めた。







「おい、俺。………そう。

あいつは今お前んとこ向かってる。

……うん。…うん。もう喧嘩すんなよ。

つーか、俺そっち行けねぇわ……」








断片的にしか聞き取れないが、途中から別に聞いてなくてもいいことに気づき、空を見上げたまま目を閉じた。







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