第1章 太陽を覆う
001
第4話
第1章 太陽を覆う
001
「ねぇ、おまえ、………なにやってんの?」
ふと、見ていた空が傘で遮られる。
日が落ちたせいで、こちらを見下げる男性の顔がよく見えなかった。
返事をしようとした。
なにもしていない、ただ空を見ているのだと答えようとした。
唇を薄く開ける。
それでも、それさえ億劫で、けっきょくそのまま唇を閉じて、傘越しに空を見た。
「おまえ、なんか病気?」
男性の声が少し苛立ったような声音に変わる。
けっきょく返事をしない私を見て、大きくため息をつくと、どこかに電話を始めた。
「おい、俺。………そう。
あいつは今お前んとこ向かってる。
……うん。…うん。もう喧嘩すんなよ。
つーか、俺そっち行けねぇわ……」
断片的にしか聞き取れないが、途中から別に聞いてなくてもいいことに気づき、空を見上げたまま目を閉じた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます