第4話 ザクとの出会い

「お前…

足怪我してるのか…?」


俺はつい、その狼にそう尋ねた。


『穢らわしい人間よ!

この狼には、人間の毒矢がめり込んだのだ!

それを尋ねるとは図々しい!

我が牙を受けるがいい!』


「ちょっと待った!

俺を食い殺したければ、そうすれば良い。

だけど、その前に、その狼の治療をさせてくれ。」


俺は言ってポケットからマキロンを取り出した。

傷口に塗ってみる。

こんなもので、毒が浄化されるはずは無いが…

やらないよりマシだ!


そう思っていると…

傷口がみるみる癒えていった…!

数分後、傷口は完全に塞がった…!


『おぉ…!

なんと言う事だ!

ザクが、ザクが…!』


狼達はザクと呼ばれるその怪我していた狼に近寄りモフモフ頬擦りする。


『なになに?

ザクがお前と旅に出ると言っている…』


「え?

俺は食い殺されるんじゃ…?」


『ザクの命の恩人を食い殺しはしない…

どうか、ザクを頼んだ…

そして、この世界を救ってくれ…』


「え、あ、はい…」


そして、ザクという黒炎王狼を残し、他の狼達は消えていった。


『よし、行くぞボンクラ。

我の背中に乗れ。』


ザクは口が悪いみたいだ…


俺はザクの屈んだ背に乗り、魔の森リザンヌを脱出した。


「なぁ、ザク?

俺の名前はシュートって言うんだ。

あのさ、これから街に行くけど、お前のその大きさじゃ目立つんだよなぁ…」


『案ずるな、ボンクラ。

我は大きさを変えられる。』


「いや、ボンクラじゃなくてシュートね。

え、そうなの?

へー。

黒炎王狼って便利なんだなぁ。」


『従魔契約をしたモンスターならば、大きさを変える事が出来るのだ。

常識だぞ?』


「いや、俺この世界の人間じゃ無いから、常識分からねーんだよ。」


『この世界のじゃ無い…?

まさか…

フィオーネアが召喚した勇者か…?』


「そうだよ?

俺はすぐに勇者パーティから追放されちゃったけどね。

今からは自由に旅するつもりさ。」


『追放されたのか?

ダサいな、お前…』


「ザクー!

晩飯抜き!」


『晩飯は適当なモンスターを食べるから問題ないわ!』


可愛くねーな!


そして、街に着いた。


ザクは犬サイズまで小さくなっており、ワンワン吠えている。


「なんだ?

従魔か?

やけにちんちくりんだな。」


門番がそう言うと、ザクはその門番に噛みついた。


「イッテェ!」


「すいません!

すいません!

ザク!

やめろ!」


なんとか、門を通過した俺たちは宿屋に向かった。


「さてと、俺は宿屋の夕飯食べに行くけど、ザクは?」


『要らぬ。

まだ、腹は減っていない。』


ザクは中くらいの大きさまで身体を戻してベッドを占領している。

俺、どこで寝るの…?


しかし、夕飯後にザクの眠るベッドにダイブすると、ザクの懐はもふもふで暖かく、ベッドのシーツとのコラボは最高だった。

俺はザクのモフモフに包まれて眠りについたのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

最悪のクラス転移から始まる、カースト最下位の俺のチートな逆進撃! ココ @coco0728

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

参加中のコンテスト・自主企画