第9話

その時。

ザッと言う足音が目の前に止まった。


見覚えのない靴が視界に入る。



「流舞ちゃん、みぃ〜つけた〜?」



背筋がゾクリとする。

冷や汗が流れ落ち、肩がガタガタ震える。


ゆっくり顔をあげた先。

聞き覚えのあるその声の主は、ニタリと笑った。




「ど、…して…」





どうして、彼がここにいるのか。

どうして。……どうして、




「十色、さん…」




なぁに?と、私の表情を見て満足げに彼ーー朝倉十色は笑う。


しゃがみ込み、私に視線を合わせてくると、そっとその指を私の頰に這わせる。



「傷だらけ…。

……あいつら、あとで殺す」



憎々しげに顔を歪め、そう吐き捨てる十色の声は、私の耳には届かない。



「なんで、…どうして、ここに、…」


「あぁ、それはね」



十色は得意げに語る。

まるで褒めて欲しい子供のように、無邪気に。

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