第8話

「………っ!」



思いっきりドアを開け、飛び出した。



「嘘っ!」


「嘘でしょ⁉︎」


「お、おい!」



後ろで悲鳴が上がる。

けれど、そんなことは気にせずに地面に転がる。




「痛…っ」




体のいたるところが擦れ、打撲し、傷つく。

けれどすぐに顔をあげた。

暗闇の森に飛び込む。




「はぁっはぁっ、はぁ、はぁっ」




必死に走った。

走って走って、つまずいて。

また走って走って走った。




「………っ、!」




ザザッと音を立ててまた躓く。

血が滲む掌を見て、涙が出た。




どうして私はこんなところにいるんだろう。

佐々木さんは電話で、私に何を伝えようとしたんだろう。


もしかすると、佐々木さんはこうなることをわかっていて早く帰れと言ってくれたのだろうか。


こんなことなら出かけなければよかった。

1人で動くなと、貴都に言われていたのに。




後悔ばかりが頭の中をぐるぐると回った。


しかし、それももう遅い。

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