第7話

「あ…ごめん、なさ、…」



バッと、全員の視線が自分に向くのがわかった。それと同時に体の拘束が緩む。


すかさず両腕を引き抜いて目隠しを外し、自分を守るように身を丸めた。



「……流舞ちゃん、やっぱり優しいわ〜」


「そこまで綺麗な心を持ってるなんて…

流舞ちゃん。最高だよ」




まるでうっとり、というように。

再び手が伸びてくる。


いや、いや、とドアの方に逃げる。

けれど、走行中の車から飛び出すことはできない。


……できない?



ふと後ろを振り返ると、日が暮れて真っ暗な道がそこに広がっていた。


逃げられない?

本当に?


よくよく目を凝らして見ると、道路脇に歩道はなく、森が広がっていた。

地面には草が生えている。




これなら、…これなら、出られないわけじゃない。

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