第6話

「いやっ!いやぁっ!」



車のドアはすぐに閉められ、急発進する。

暴れる私を、4人の手が押さえつけた。

顔は見えない。

目出し帽に黒いシャツ、黒いズボン。

全員が同じ格好をしていた。



「どーすんの〜?こんなに抵抗されてたら怪我させちゃう〜!」


「とりあえず目隠し!それとって!」


「これ?あっ、落とした!」


「ちょっとー!ちゃんとしなさいよ!」




嫌だ嫌だと対抗する私に、最後、ちゃんとしなさいと怒鳴っていた女性が目隠しをつける。


理解できない状況と奪われた視界に、パニックがどんどん増していく。



「いやっ、離してっ、誰か、…助けて……っ」


「痛っ!」


「え…」



誰かが小さな悲鳴をあげた。

その声に思わず動きを止める。



「ちょっと〜、大丈夫〜?」


「ひっかかれただけだから。大丈夫だ」



そんな会話を聞いて、自分の爪が誰かにあたって怪我をさせたのだとわかる。

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