第3話すれ違い

そんな気持ちを抱えたまま、学校へと向かう。

駅から降りて通学路を歩いていると後ろから声をかけられた。

「さくら」

「あ、日向君」

この子は二年の時に同じクラスで男の人が怖くなって男子とは極力話さなかったけど舞の紹介で話すようになった、日向君は可愛い顔立ちをしていて、女子だけで話してても自然と女子会に入ってこれるくらいにコミュ力があって女子からは人気があるのだが実は恋愛には興味がないらしく告白されても断ってるらしい

「おはよう」

「おはよう」

「今日から三年生だね」

「そうだね」

「また同じクラスになるように神様にお願いしてきたから」

「そうなの?」

「うんあ、さくらと舞一緒がいいなって」

「日向君ならどんなクラスになっても上手く過ごせるんじゃない?」

「そんな事ないよ」

「でも日向君は楽しそうに過ごせてるよね」

「そう?」

「うん。誰とでも仲良くなれて」

「まあ全クラスに友達は五人は友達いるからね」

「すごいじゃん」

「でしょー」

笑顔で話しをしていると学校へとついてしまった

「さくらと話してると直ぐに時間経つわ」

「もう、そんな事言うから散々告白されて困るんだよ」

「そう言うさくらも人気があるじゃん」

「私はそこまでじゃないよ」

「よく言うよ」

「はいはい、クラス見に行くよ」

「はーい」

校門を通って靴箱を通ってクラス替えの貼り紙を見る

「さくら見える?」

「身長小さいし見えないかも」

「じゃあ僕見てくる」

「よろしく」

クラスの張り紙の前には沢山の人で溢れそうだった、その中に入っていくのは無理だろう

「さくら、おはよう」

舞が嬉しそうに話しかけてきた

「おはよう、もう見た?」

「うん、同じクラスだったよ」

「そうなんだ」

「さくら、同じクラスだよ」

「もう知ってる」

「なんで舞は言っちゃっうんだよ」

「そんなの知らないわよ」

「えー」

そう言って他の人に話しかけにいってしまった

「なんだか、忙しい人ね」

「そうだね」

「じゃあ早速教室行こうか」

「うん」


教室に入るともう殆ど人が集まっていた。

各々既に仲良くなっている人と話したり新しくできた友達と話していたりとても楽しそうだった、私は人見知りなのもあるしひょっと知らない人に話しかける勇気がないのでとても新しく友達を作れる人間じゃない。

「よし皆席に着いて、担任の田代です」

「やったー」

田代先生は皆から慕われているので今回のクラスの担任はあたりだった。

田代先生が全員の名前を上げて体育館に行くように指示を出した。

体育館に移動して始業式が始まって校長先生の長く退屈な話しを聞き特にはそれ以外の先生の話を聞いて始業式は終わった。


「校長先生の話を長かったね」

「そうだね」

教室に戻って田代先生の話は短く今日はこれで終わった。

帰ろうとスマホを見た、ずっと使用人さんに帰る時は連絡していたのでつい癖で連絡を取りそうになってしまっていた。

「さくら、帰りマック行かない?」

「いいね」

「舞、さくら帰り皆でカラオケ行かない?」

日向君がクラスの皆で親睦会としてカラオケに行こうと声をかけてきた

「私はいいけど」

「じゃあ決まりだね」

「ちょっと私の意見は?」

「はいはい、行くよ」

舞はそう言いつつ楽しそうにクラスの集まりに進んで行く

「さくら、大丈夫?」

「うん」

「嫌なら言ってね、日向はそう言う気を遣うとかできないから」

「大丈夫だよ」

「じゃ行こう」

舞に手を取られて私も輪に入れてくれた。


楽しい時間は早く感じてしまう、皆歌って踊って笑顔でカラオケを楽しんで早いと思うけどこのクラスなら楽しく一年間過ごせるかもしれないと思えた。

「私ジュース入れてくる」

「じゃあ私もお願い」

「私も」

「俺も」

次々に頼まれて困ってると

「私も行くよ」

舞が助けてくれた

「じゃあ僕も行くよ」

三人でもてるだけのグラスを持ってジュースを入れに行った

「そう言えば今日は一席空いてたけど日向誘ってないの?」

「いやいや、最初からいなかったよ」

「不登校か?」

「特に田代先生も何も言ってんかったし、どうなんだろうね」

「転校生とか?」

「それなら可愛い人がいいな」

「いや、イケメンな人が来る気がする」

「それぞれ期待持ちすぎ」

「いいじゃん妄想ならただだし」

「それはそうだけど舞は颯太君がいるでしょ」

「まあ、確かに」

「あ、言っちゃおう」

「やめてよね。結構傷つくから」

「舞が言うのが悪いんでしょ」

「そうだ、そうだ」

「日向君も調子に乗らない」

「はーい」

「そう言えば颯太君とは結構長いよね?」

「まあお互い相性良いからね」

「いいな、そう言う関係性」

「まあさくらにも直ぐに春は来るよ」

「そうだよ、もっと自身持ちな」

戻ってジュースを配って暫くして解散する事になった。

「じゃあ皆明日学校で」

日向君の一言で皆一斉に帰路につく

私も家に帰ろうと連絡をしたら使用人さんから車で迎えに来るというので近くのカフェで待っている事にした。

この時間は色んな人が動いている、サラリーマンなどスーツを着た男の人や女の人家族で出かけたり制服を着て友達といたりと人間観察をしていると使用人さんから近くに着いたと連絡が来て私は言われた場所に向かった。

「お疲れ様です」

「疲れてないよ」

「そうでしたか」

「そう言えばいつも一人で帰っているのに今日はなんで車出してくれたの?」

「最近会長や社長の周りで不穏な動きがありそれに犯罪集団がうごめいているので会長の指示で」

「そうなんだ、サマエル?マラクだっけ?」

「はい、その様な輩が最近日本で動いているらしく」

「そうなんだ」

「なのでさくら様もお気を付けて」

「分かった」


家に着いたらお父さんとお母さんが夕食を食べていた

「お帰りなさい」

「ただいま」

「さくらも食べなさい」

「はい」

席に着くと使用人さん達が食事を運んでくれる

「いただきます」

空気が重い、家族で揃って食事なんて何年ぶりだろうそんな事を考えているとお母さんが口を開く

「学校はどう?」

「楽しく通っています」

「そう」

いざ何か話すとなると直ぐに会話が途絶えてしまう

「そう言えば最近世間は物騒になっているから気を付けてね」

「はい」

「さくら」

お父さんが口を開いた

「はい?」

「暫く車で通学しなさい」

「そこまでしなくても自分の身は自分で守ります。それに今時車で通学なんて嫌です」

「それなら近くにボディガードを付けよう」

「大丈夫です」

「さくら、お前は今起きてる世間での脅威が分かってない」

「大丈夫ですから、ごちそうさまでした」

「さくら」

お母さんの声を振り切って自分の部屋に向かう。

お父さんはいつも自分の考えを通そうとする確かに最近物騒な事件だったりが増えているけどボディガードなんて家ならまだしも外で常に自分の周りにスーツを着た人がいるなんて逆に目立ってしまうしそんなの嫌だ、でもお父さんに意見してしまったが数年ぶりに家族揃ってできた会話があんな形で終わるなんてやっぱり親と私は合わないのかもしれない。


でもそんなお父さんの言う事を守っていればあんな事件は起きなかったのかもしれない。

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