第2話 療養

「さくら大丈夫?」

「うん」

病院に行った夜に舞に電話をしていた

「やっぱり外歩くと男の人は怖いかな」

「そっかー」

「まあ私としては大丈夫だと思ってたんだけど」

「まだ気持ちが追い付いてないのかもしれないしでもいい機会だし気分転換にいもなるしいいんじゃない?」

「でも授業とかおいて行かれるかもしれないじゃん」

「それならノート貸したりするしそんなに気にしなくて大丈夫だよ」

「ありがとう」

「いえいえ」

「颯太君とはどう?」

「もうすっかり仲直りしちゃった」

「良かったよ」

「さくらにも心配かけてごめんね」

「大丈夫、なんか恋人っていい時間だけじゃないんだなって勉強しいたし」

「そうなんだよ」

「まあ私には無縁な話しだけど」

「そんな事ないよ、だってさくら結構男子から人気あるよ」

「話しかけてくる人はいないけどね」

「男のくせに勇気がない奴らだな」

「舞が怒ってどうすんの?」

ていたらふと机に置いてあった一枚の紙が目に入る

「ねえ、舞」

「なに?」

「三者面談どうする?」

「どうするって?」

「誰に来てもらう?」

「そりゃ親だけど」

「そうだよね」

「さくらの親は難しいの?」

「まあ仕事が忙しいから」

「まああんな大企業のトップだからね」

「お父さんも母さんも学校行事に来てくれたことないし」

「そうなの?」

「うん」

「私は必ず参加してくれてたけどね」

「舞の親は舞の事が大好きだもんね」

「さくらはそう感じてないの?」

「だって学校行事所か三者面談にも来てくれないしちゃんと顔みて喋ったのも随分前だし」

「そっかー」

「中学まではおじいちゃんかおばあちゃんが来てくれてたんだけどね。もう亡くなっちゃったし」

「思い切って聞いてみたら?」

「親に?」

「そう」

「無理だよ」

「やってみないと分からないじゃない」

「分かった」

「じゃあそろそろいい時間だから切るね」

「うん」

電話を切ってリビングに向かうと使用人さん達がせわしなく動いていた

「どうかなさいましたか?さくら様」

「いや、お父様とお母様は?」

「お仕事です」

「こんな時間まで」

「はい」

「さくら様その紙はなんですか?」

「これ?」

「はい」

「学校の新聞みたいなやつ、面白かったから見せようかと思ったけど仕事ならしょうがないね」

「さようですか」

「じゃあもう寝るね」

「はい、おやすみなさいませ」

私は部屋に戻り紙を引き出しにしまってベットに横になる

「やっぱりこの状況って普通じゃないんだな」

そんな独り言が広い部屋にとどまる、学校休めなんて言われたけど此処にいてもやる事なんてないのに。


一日また一日と時間は過ぎていく、私は舞に持ってきてもらった学校の課題をこなす毎日で飽き飽きしていた。

この三週間がとても長く感じた。舞には時々家に来てもらってその日あった学校の出来事や颯太君との話ししてくれそれなりにその時間は楽しかった、だが一日家にいても親の顔を見ることはなかった。

次の日病院へと行きいつも通りにカウンセリングを受けた。

「何か心配なことある?」

「特にはないです、でも勉強がおいて行かれるんじゃないかって」

「早く学校に行きたいって思うのはいい事だね。でも今までみたいに急に発作が出ちゃうと大変だから慎重にね」

「それなんですが、行き帰りで車で送り迎えしますので学校へなんとか行けませんか?」

後ろから使用人さんが話をしてくれる

「まあ学校の人以外に極力会わないようにならいいでしょう」

「ありがとうございます」


そして病院を後にする、使用人の一言がなければ私はまだ学校へと行けなかっただろうう

「ありがとうね」

「いえ、さくら様が楽しい場所に居られるようにするのも私どもの仕事ですから」

「楽しいね」

私はいつしか家が楽しい場所ではないと思ってしまっている。でもそれを言えば私の帰る場所がなくなってしまう気がする

「そう言えば三者面談いかがでしょうか?」

「そうね、お父様もお母様も来れないだろうからどうしたものか悩んでいるの」

「それなのですが、お母様が時間を作れると申していました」

「本当?」

「はい」

内心凄く嬉しかったでもなんでこの人は三者面談の事を知っているのだろうと疑問がでてきたので

「なんで三者面談の事知ってるの?」

「少し前にプリントを持っていたのが目に入ってしまいました」

「そっか」

「ご迷惑をでしたか?」

「いや、ありがとうね」


そうして私は三週間ぶりに学校へと行くことになった。

奇しくもその日は私の三者面談の日だった。

お母さんは十五分しか時間はないと言われてので放課後になった時に準備を手伝って直ぐに始められるようにした。

「お母さん来れるんだな」

「はい、でも十五分ですけど」

「大丈夫だ、成績も悪くないし後は将来の事とか色々聞くだけだから」

「分かりました」

私は廊下に並べられた二つの席に座ってお母さんを待った。

数分後お母さんは着た

「待った?」

「ううん、準備し終わった所」

「そう」

「安藤さんどうぞ」

高橋先生の一言で教室に入り中央四つ囲っている机があり椅子に腰かけた

「では、始めますね。お母さんは初めまして」

「はい」

「さくらさんの成績から話しますと」


時間は進んでいく、成績は一応上の方にいるということで将来の事はまだ決まっていないと言うのが現状だった。時間も十五分ちょうどになり三者面談は終わった

「さくら」

「なに?」

「ちゃんと将来の事は考えとくのよ」

「分かった」

「じゃあ私は仕事行くわね」

「うん、頑張って」

私は母さんとは違う車で家に帰った。


「舞、今日お母さんはと三者面談してきた」

「良かったじゃん」

「うん」

「あの天下のADグループの社長の前では高橋もびびってたでしょ」

「そうかも」

思い出したらなんだか面白くなってきた、高橋先生には悪いけど

「そう言えばもうそろそろ夏休みだね」

「そうだね」

「何か予定ある?」

「特にはないな」

「さくらは宿題先にやるタイプ?それとも溜めるタイプ?」

「私は直ぐに終わらせるかな」

「偉いね、私は直ぐに集中力なくなるから結局一か月はかかるよ」

「なら手伝おうか?」

「本当?」

「うん、ノート貸してくれたりしたくれたし」

「じゃあお願いしようかな」

「どうせなら泊りがけでやる?」

「いいけど、それ結局やらないやつじゃん」

「まあでもいいんじゃない?」

「そう言えば早く終わらせないといけないじゃん」

「なにかあったっけ?」

「乃木坂のライブあるじゃん」

今はアイドル戦国時代の中女性アイドルのトップをひた走るアイドルグループのライブに当たったのを思い出した。

「そうじゃん、忘れてた」

「せっかく舞が誘ってくれたんだし溜められると困る」

「それなら宿題なんてぱぱっと終わらせるわ」

「そうして」

「夏休みの前に試験あるからそれも忘れないようにしないとね」

「そうだね」


そうして各々テストが始まり夏休みになり私は友達と出かけたりライブに行ったりと楽しい二ヶ月間を終えて次は文化祭、高校生での最初の文化祭はとても楽しく過ごせた、この時には既に男の人に対する恐怖はなくなっていた。

二年生になると今度は文系、理系を選ぶようになり私は文系を選んで授業を受けてクラス替えもあったが舞とは同じクラスになって変わらず楽しく毎日をすごした。

二年生になっても変わらず体育祭も文化祭も過ごせた。ただ修学旅行に関しては延期してしまいそれが少し残念だったがそれは先生が必ずやると言ってくれたのでそれは安心していた。


そうして三年生になり最後の高校生活がはじまった。

「行ってきます」

「電車で大丈夫ですか?」

「もう一年の時の話だし」

「そうですか」

「心配しないでもう動悸もしないし、それじゃ行ってくるね」

「いってらっしゃいませ」


電車に乗っていつもの様に学校の最寄り駅まで行くが一年の時は電車に乗るのも大変で最初は一駅ずつ乗っては降りてそこから車で行くと言う事をリハビリも兼ねてやっていたが最初は一駅だけ乗るのも使用人さんが一緒にいたのは少しやりすぎだと思ったがそのおかげで電車で通学出来るようになった。

そんな経緯がありながら車で行く事は先生達にしか言ってないし舞には話していいかとも思ったが周りの目が何より舞から見る目が変わってしまうのではないかと思って話せずにいた。

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