007 ローズガーデンの色
『美しい花には棘がある』。何かで聞いた、ことわざ。西洋では『薔薇の花には棘がある』と言うくらい、薔薇の花にある棘は有名なのだろう。
仕事が休みの今日、友人と二人で植物園に行くことになっている。
友人と遠出するのなんて、いつぶりだろうか。
【ローズガーデンの色】
薔薇のように赤い紅茶を飲みながら、二人で電車に揺られること三十分。
着いたのは、隣町にある薔薇をメインテーマにしたカフェ併設の植物園。今の時期、この植物園では薔薇が見頃を迎える。この辺では唯一の薔薇をゆっくり見られる施設。カフェも併設されていて、アフタヌーンティーを楽しむことができるらしい。
「先に薔薇を見よう!」と言う友人に合わせ、園内をぐるり一周。
最初は淡いローズピンクはもちろん、桜色やベビーピンクの様な少しずつ違うピンクのバラがアーチ状でお出迎え。
ピンク系統のアーチと生垣で作られた順路を進んでいけば、お次はオレンジの薔薇エリア。これもまた微妙に違う色合いのオレンジを取り揃えてあり、一色なのだが飽きてこない色合い。
赤いエリアの薔薇も負けてはいない。定番の色だからなのか、このエリアの薔薇を見に来る人は多く、友人も人混みに疲れたのか「ここは後回し!」と言って次のエリアへ。
次、といっても最後のエリアは白い薔薇のエリア。白い薔薇の生垣でできた空間の中央にはケースに入った、青い薔薇が。
「おー!これが今回の目玉!」
見つけるなり、ケースに駆け寄ったのは友人。友人の後ろから、青い薔薇を見るが、品種改良でここまで綺麗な青になるとは。
その後もたいそう楽しんでいる友人を、他の人に迷惑になりそうだから。と、引っ張って植物園を後にした。
ぶつぶつと小声で友人が呟いていたが、カフェに入るとアフタヌーンティーに釘付けになったようで……。
この友人も美味しいものに目がないよなと思いながら、オールドローズ色の紅茶を一口飲んだ。
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