…さくっちのって意外と…。

 いつも通り午前4時に目を覚まして、寝室から出る。

 …今日…休日だよな。当番は…俺、だったはず。

 そんな事を考えながらリビングに向かう。

 とりあえず俺の分の朝食を作って先に食べておく。今日は綾川さんが作るわけじゃないからいつ作っても問題ないし。

「いただきます」

 朝食は基本的に質素だ。まあこれでいいと思う感情と、休日くらいは贅沢したい感情が絶妙にせめぎ合っているが、贅沢をすると朝食ではなく時間を食うのでやらない。

 …というか、朝食の贅沢って何なんだろ。フレンチトーストとかかな…。


 朝食を食べて食器を洗い終わった後、お風呂を沸かす。

 それからしばらくゆっくりとリビングのソファーでゆっくりしていると、未空がリビングにやってくる。

「…ん~…。…ん、おはよう響谷くん」

「あぁ、おはよう未空」

「相変わらず朝早いね~」

「まあ、そういう生活リズムになってしまったわけだしな」

「そう言えば急で悪いんだけどさ、お風呂って沸いてる?」

「沸いてる」

「ほんと?響谷くんも朝風呂ってしたっけ~?」

「いや、しない。未空が朝風呂してるって記憶があったから」

「覚えててくれたんだ、嬉し~。それじゃあ、私朝風呂入ってくるね~」

「はいはい、行ってら」

 そう言ってリビングから風呂場の方へと消えていく未空の背中をしばし眺める。

 …なんか、あんまり変わってないな。



「ふ~、やっぱり朝風呂っていいなぁ~」

 …ちょっと眠くなっちゃうけどね~…。

 …昔は響谷くんと一緒に入ったことも…、あったなぁ~。でも今は流石にね…。をしたいって言うなら…まあ話は別だけど…。

 って、朝のお風呂で何を考えているんだろう私は。

「…折角だし、今日の夜はさくっちと入ろっかな~」

 ふふっ、ちょっと楽しみ。

 …う~ん、そろそろ出ないとのぼせちゃいそうだから出よっと。

「―――わっ!?」

 お風呂と洗面所を仕切る扉を開けると、服を脱ごうとしていたさくっちの姿が目に入る。

 さくっちも、お風呂の扉が開いた音に反応してこっちに振り向いて、驚いた声を上げた。

「さくっち、おはよ~」

「お、おはよう…」

「どしたの?」

「いや…急に出てきたから吃驚して…」

「え?でも服脱いでるよね~?」

「ちょうど私も朝風呂入りたかったし…別に未空ちゃん女の子だしいいかなって。…未空ちゃん?」

 …さくっちのって意外と…。………。

「…さくっちのおっぱいって重たくないの~?」

「…それはこっちのセリフだよ、未空ちゃん」

「私のはね~、結構重いと思うよ~」

 わざとらしく、胸をすくい上げるように持ってみる。…さくっちも女の子だし大丈夫だよね~。

「まあ私も…ちょっと重いかな…。肩凝ったりもするし…」

「分かる~、男の子っておっきい方が好きだけど、おっきいと不便だよね~」

 まあ、おっきい方がちっちゃい子に勝った感じがするから、悪い事ばかりっていうほどじゃないんだけどね~。

「男の子って貧乳が好きな人もいるけどね」

「うんうん。いるいる~」

「…それにしても…未空ちゃんって改めてみるとスタイルいいね」

「そうかな~?」

「うん、なんていうかこう…すっごく…。………」

「すっごく?」

「…なんでもない」

 さくっち、私は聞き逃してないよ~。『すっごくエッチ』って言ってたよね~。聞かなかった事にしておこ~っと。



 …未空、遅いな。というか綾川さんも。

 あの後、綾川さんも『お風呂沸いてるんですか?それなら私も、お風呂入ってきます』って言って風呂場の方に向かっていった。

「―――たっだいまぁ~」

「…ん、あぁ、おかえり葵」

「…響谷、ちょっと足貸してもらっても良いか?」

「…は?どういう―――」

 葵は有無を言わせず、俺の隣に座り、俺の足に頭を乗せてくる。

「…なぁ、葵?」

「…なんだ」

「寝るなら自分の部屋で寝てくんないか?」

「…めんどい。もうこっから一歩も動きたくない」

 …………。

「………はぁ~………」

 しゃーねぇーなぁー…。

「思う存分寝ろ」

「…あぁ、サンキュ…」

 …もう寝た…?…やっぱ疲れてたのか…葵。

「響谷く~ん、お風呂上がった…よ…」

「あぁ、未空。おかえり」

「…響谷くん、私と疎遠な間に葵さんと恋人にでもなったの?」

「…いや…この状況に関しては俺も説明が欲しいんだけど…」

「…葵さん、疲れてるの?」

「まあそりゃ…多分…」

 …葵が家に帰ってきたのっていつぶりだったかな…。最後に帰って来てたのは…3日前だっけな。

「…お疲れ、なんですね。葵さん」

「…なんか、さくっちの敬語って新鮮かも」

「そう…かな」

「うん、あんまり聞いたこと無いね~」

 …あぁ、未空には敬語じゃないのね。それはそれでなんか疎外感があるけど…。

「…それにしても、葵さんの寝顔も新鮮かも~」

「…あんまり頬を突くな、葵が起きるだろ」

「えぇ~」

「『えぇ~』じゃないんだよ」

 葵だって疲れてるんだから。

「…葵さん…普段は少し…あれだけど。寝顔はかっこかわいい…感じですね」

 …あぁ…うん。あれってなんだよあれって。


――――――――

作者's つぶやき:う~む、眠い。

それだけですね…あとがきも書くことがある日とない日の差が激しいんですよね~。

あと今回から名前のルビを外させてもらってます。いつも通りになってます。

…あと、未空さんと綾川さんが何カップかはご想像にお任せします。

――――――――

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