第4話 ボケ禁止令/少子高齢化対策/声と存在etc……
「これか……?」
「そうそう、それ開けばやれる」
「へぇー面白そう。やってみよ」
「……何してるんですか?」
ボクとミヤビが敗者同好会の溜まり場こと小会議室のドアを開けると、そこには集まって携帯に視線を注いでいる及川先輩、坂先輩、赤木先輩の3人がいた。
「よう、お2人さん」
「今はね、新聞社のサイトで面白いのがあったから、やろうとしてるんだ」
「面白いもの……?」
ミヤビがコテンと首を傾ける。
実際、ボクにも想像がつかなかった。新聞社がそんな面白いものをネット上に作るのか。そうは思えないのだが。
「質問があって、その質問で自分のスタンスを選択すると、それぞれの政党の一致率が算出されるってやつなんだ」
「あぁ選挙の」
「確かに近いですもんね」
成る程、選挙の話か。
新聞やネットのニュースで軽く読む程度しか政治は分からないけど、ボクみたいなそこまで詳しくない人達が、ツールを使って自分の考えに近い政党を探すというのは良い方法かもしれない。投票する事に価値があるという事を政経の先生も言ってたし。
「お2人さんはどこに投票するか決めてるのか?」
「いやまだ選挙権ないんですけど」
「そうだったな。まぁ、折角の機会だし一緒にやってみようぜ」
及川先輩にそう勧められたので、ボクとミヤビはリュックを下ろして椅子に座り、携帯を取り出した。
≪≫
•ボケ禁止令
彰征「ほー成る程。これを回答していけばいいのか」
満「あぁ。分からない分野に関しては中立的な回答をしておけばいいだろうし、サクサク行けるんじゃないか」
彰征「よーし……まずは憲法改正、これは反対っと……」
赤木「おっ、憲法改正反対派なんだ」
彰征「はい。で……次は自衛隊の憲法への明記か……これは賛成っと……」
赤木「うーん2行で矛盾シリーズだねぇ‼︎」
彰征「冗談ですよ」
雅「しょーくん。今アタシこっちに集中してるからボケないで」
彰征「すみません……」
坂 (怒られる理由が特殊……)
•少子高齢化対策
雅「少子化対策と高齢者への福祉、どっちに重きを置くべきか、ですか……」
赤木「やっぱうちらの世代だと少子化の方を重要視しがちだよね」
彰征「俺もです。将来的に子供を持つ世代としては、是非とも支えてほしいので」
満「おっ、2人は少子化派か。俺は高齢者派だな」
彰征「その心は?」
満「だって女性の平均寿命1位をこのままキープしたいじゃん?」
彰征「もうちょっとマトモな理由ないんですか」
•声と存在
彰征「核兵器について、か……」
雅「核戦争は絶対に起こらないで欲しいけど……」
礼央「もしも起こったら、アインシュタインは地獄で咽び泣くだろうな」
彰征「アインシュタインを地獄送りにする理由is何」
雅「待って斎藤くんいる事にも触れよう⁉︎」
彰征「わぁおいつの間に。気付かなかったわ」
礼央「声で分かって欲しかったのだが」
赤木「調子に乗った時の宮野真守みたいな声だと覚えておけばいいよ」
礼央「よく分からないけどそれは喜ぶべきなんです?」
坂「確かに顔がうるさいのは似てる……」
礼央「あぁディスってるな」
彰征「良かったな。斎藤」
礼央「そんな事思ってないだろ⁉︎」
•略称
満「そう言えば、核拡散防止条約の略ってどう書くんだっけ」
赤木「授業でやった筈なのに忘れたわ」
坂「INFじゃないの……?」
彰征「それは別の軍縮条約ですよ」
満「じゃあ……思いつくのだと、ODA」
彰征「軍縮すら関係ないですねそれは」
赤木「TKGか‼︎」
彰征「ふざけてますよね⁉︎」
雅 (この3年生達、大丈夫かな……)
※正しくはNPTです
•落書きする人いるよね
彰征「先輩達……絶対授業真面目に聞いてないでしょ」
満「真面目に聞いてたら寝るからな」
雅「分かるような分からないような表現……」
坂「授業終わった後の及川の席、しりとり書いてあるんだよな……」
彰征「何やってんですか⁉︎」
満「眠気防止だ。しりとり、立憲政友会、岩倉具視、ミッドウェー海戦……ってな」
彰征「いや3つ目で終わってんじゃないですか」
雅「というか無駄に知的な……」
•マッチング結果
坂「終わったぞ……」
満「早くね?」
坂「お前らが会話に夢中になりすぎなんだよ……」
赤木「どうなった?」
満「自民党が一番マッチ率高いのか……一番安牌な選択だな」
彰征「今回言うほど安牌じゃないでしょ」
雅「そもそも選挙なんて自分の希望に票投げるのに安牌も何もなくない?」
赤木「因みにこっちも終わったよ」
満「まじか、結果は?」
赤木「れいわだって」
彰征「右派から左派って、急に正反対になったな……」
雅「太った人が乗った時の体重計みたい」
•左右
満「俺と雅が国民民主党、礼央が公明党、彰征が立憲民主党か……」
坂「ここまで割れるんだ……」
赤木「五等分の支持政党だな」
彰征「五等分の花嫁みたいに言わないで下さい」
雅「そもそも五等分になってないよ⁉︎」
礼央「折角だから、ここでの座る場所も、右派左派で左右に分かれて座ろうか」
彰征「どっちから見るかで左右変わるんですが」
•結局……
彰征「取り敢えず、これで先輩達はどこに投票すれば良いか決まりましたね」
満「いいや実は決まってない」
雅「どうしてですか?」
満「小選挙区は見てないんだ。そっちも考えないとな」
雅「確かに」
満「まずは選挙カーうるさいのは除外だな。勉強してる時に女の人の声が響いてストレスが溜まる」
彰征「気持ちは分かるんだけど……」
赤木「あっ、今見たられいわの立候補者おらんわ」
彰征「あちゃー」
坂「そもそもマッチング結果と自分の支持政党違う……」
彰征「支持政党あるなら別にやらなくて良かったのでは⁉︎」
雅「これやった意味あったのかな……」
•久方ぶりの邂逅
投票日──────
満「小学校懐かしいな……」
友人「おっ、満? 久しぶりじゃん」
満「おぉっ、変わらないな」
友人「まぁなんだかんだでね。それはそうと、投票に来たのなら、小選挙区の3連単予想しようぜ」
満「3人立てだぞ面白みねぇよ」
友人「いいじゃないか。当てた方が飯奢るって感じでやるの楽しそうじゃないか?」
満「楽しそうだな。調べた感じ現職が圧倒的支持あるから、オッズゲロ安で決まりそうな点を除いてな」
友人「ちぇー、つまんないの。騙せそうだったのに」
満「お前それが目的か⁉︎ 狡猾な奴め‼︎」
友人「おっとぉ? 言わせてもらうとな? 鬼滅の刃最終回のジャンプ立て替えた時の金返してもらってないの覚えてるからな?」
満「済まねぇ今返す」
•選挙を終えて
週明け──────
彰征「投票行ってきましたか?」
満「あぁ。中学の友人に昔立て替えてもらった金を請求された」
彰征「何でまだ返してなかったんですか」
満「後は偶然目に入ったんだが、隣のおっさんが立民と国民の区別がついてないのか、国立民主党って書いてた」
彰征「その人の脳内に私立民主党ありそう」
雅「坂先輩も行ってきました?」
坂「あ、うん……投票の際の勝手が分からず恥かいたよ……」
雅「それは大変でしたね……」
赤木「まぁ気にすんなって。インターハイで間違えて女子トイレ入った満よりマシだ」
満「えっ急に掘り返されたんだが」
雅「いきなり凄い話が出てきた」
彰征「それで、赤木先輩も行ってきたんですよね?」
赤木「あーそれがね、まだ18歳の誕生日きてないから、投票権なかったわ」
彰征「アンタが一番の大恥だよ‼︎」
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