熟女聖女

山田ジギタリス

第1話

魔法陣から発せられた光が消え、床の上には女性が一人呆然と座り込んでいた。


「成功か?」

俺の問いに

「彼女の魔力を解析します、しばしお待ちを」

と筆頭宮廷魔術師のロイドが答えた。



カコーーーン

「いてぇえ!」

「@#$%^&*()」


足元をみると聖女様(候補)が投げつけてきた靴が堕ちている。そして、何言ってるのかわからない。

「おぃ、ロイド、彼女が何を言っているのかわからないのだが」

「そりゃ、そうでしょう。異世界の方の言葉がわかるわけないでしょう」

「そうじゃなくて、なんとかしろ!」


溜め息を一つついてロイドが何やら呪文を唱える。

「@#$…おーい、無視しないでくれー」


「失礼しました、聖女様、私はロイド、こちらの世界の魔法使いです。そして、これは第二王子のレオナルド様。今回、聖女様をお呼びするという大役を押し付けられた方です」


なんかところどころ不敬だな。


俺は聖女様の前に行き、かがみこんで彼女に挨拶をする。


「ご挨拶が遅くなり申し訳ございません、私はヨクアル国第二王子のレオナルドでございます。聖女様、お名前をうかが「ごめん、吐きそう」……」


まずは侍女を呼んでこの場の清掃と、聖女様には風呂に入っていただき、一晩お休みいただいてから説明とお願いだな。




聖女様の名前はマキ様と言われ、あちらの世界では天気をつかさどる役所で働いていたらしい。

そして、既婚者だけど夫が浮気して浮氣相手に子どもができて離婚を迫られていたらしい。

マキ様はそれでやけ酒飲んでたところをこちらに召喚されたというわけだ。

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