第2話  新居

結婚したら、ここに住めばいい

結婚式は、こうしたらいい


全て母の意見。


言われるがままの彼。

・・・・・自分の意見はないみたい。

彼にとって、親が言うことは、絶対的なものだと、今更ながらに気付かされた。

このまま、結婚してもいいのだろうか。私、幸せになれるのだろうか。

不安ばかりが募り出す。


新しく、家族になる人たち。

一番仲良くしたい人たちだった。

でもでも。

何もかも違っている。私の思い描いた幸せとだんだんかけ離れていく。


ちょっとでも、母と違う意見を発言すると、空気が重くなる。

最初は、私に気を遣い、味方してくれていた、彼と、その父は、何か口添えするだけで、怒り出す母をどうしようもできず、そのうち、何も言わなくなった。

いつも一方的に私は、言われるだけ。私の意思は聞いてもらうどころか最初から、なんでも、決定されたことが伝えられるだけ。


黙って受け入れればよかったのだろうか。

自分の思いは消しちゃえばよかったのだろうか。


私の生活なのに。私の結婚なのに。


お母さんの結婚みたいだ。


新しい家は、新しくない家。彼の家族が住んでいて、新しく建てた家に移り住んだことで空き家になった、古い家。


でも・・・・。

私は、ここが好きなのだ。


初めて住んだ時から、ここは好きだった。


こうしろ。ああしろ。

と言われなかったら、きっと最初からもっと好きだったと思う。


「今の私」なら、もっと素直に

お母さんの声を聞けたかも知れない。

もっと上手に

自分の意見を伝えられたのかも知れない。

だけど。

21歳の私は夢見る女の子だった。





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