第15話 パワーグローブ
ダンジョンから戻ったオレは早速、パワーグローブを制作してみた。
…と、言っても二つの鉱石を合わせてただの手袋の中に入れてみただけなんだけどね。
けど…これが意外に使えた。
たしかに、荷物は重いけど、以前ほどの重さを感じない。
半分…とかまではいかないが、三分の一くらい軽くなった気がする。
ん~どうなんだろう?
重さが分母分減るなら…やばいくらいだけど、普通にキロ数分なのかが分からないな。
まぁ、とにかくかなり重宝することだけは分かった。
ただ、鉱石はどちらも小石程度のサイズしかないので、片手分しか使えないんだけど…ね。
…けど、またダンジョンへ行けるのであれば、オレは率先して願い出てみようと思った。
パワーグローブの出来に満足していたオレの元に、エリナがやってきた。
「ねぇ、レイ。ダンジョンはどうだったの?」
エリナは、好奇心いっぱいにオレを見つめる。
やっぱり興味津々だ。
「んー、まあ、怖かったけどな。魔物も出てきたんだけど、冒険者の人たちが強くて、すぐにやっつけてくれたんだよ。でも、オレは見てるだけで、何もできなかったんだ」
エリナの目が少し見開かれる。
「それで、冒険者の人たち、かなり儲かったらしいよ。でさ、お駄賃に銀貨2枚くれたんだ」
オレはポケットからその銀貨を取り出して見せた。
エリナは目を輝かせて、それを覗き込む。
「わぁ、すごい! 銀貨2枚も!…それって、すごい価値なんだよね?」
「いや、オレもよくわかんないんだよね、どれくらいすごいのか…ここじゃ使う機会ないし」
「ふーん、私もよくわからないけど、なんかいいな~」エリナは微笑む。
「でも、使うところないんだよ。ここじゃ何も買えないし、銀貨なんて持ってても意味ないんだよな」
エリナは少し考え込んでから、ふと明るい表情をして言った。
「ねぇ、レイ、私も冒険に行きたい! ダンジョンに連れてってくれるカッコいい冒険者、どこかにいないかな~?」
「冗談だろ?」
オレは驚いてエリナを見つめた。
けど、彼女はニコニコ笑ってる。
「いや、さすがに危ないって。魔物って怖いし、行ってもあんまり役に立てないと思うしさ」
「そっか、やっぱり無理だよね…」
エリナは肩をすくめるけど、どこか残念そうだ。
「…まぁ、いつか君が冒険者になったら、その時は一緒に行けるかもしれないけどね」
オレがそう言うと、エリナは嬉しそうにうなずいた。
だけど、オレは肝心なことは伏せていた。
ダンジョンで見つけた鉱石の不思議な力のこと。
エリナに話すのは、なんとなく怖い気がしたんだ。
自分でもまだその力が何なのか、わからないから。
エリナと別れて、オレは一人で考えた。
この鉱石の力に名前をつけるなら、どうするか。
『
…よし、これでいこう。
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