第20話
週明けに学校へ行くと、いつも通り
珍しく
あのデートの後に何があったのかわからないが、念のためにカフェで勉強しようとLINEをすると、既読にはなるがいつもようなスタンプが来ない。
とはいえ、みんなの前で声をかける勇気もなく、放課後になって来てくれるかわからないままカフェに
カフェに荷物を置いて、カフェラテを飲んで待つ。
(もしかして藤堂と付き合うことになって、返事がない・・?付き合うようになったから、あえて教室では話さなくなったとか・・・?)
悪い想像ばかりが膨らんでいく。
問題集を広げ、集中できないと思いつつ、問題に取り組んでいると、「・・・お待たせ」と梨央がやってきた。
「お、おぅ」
梨央はいつものような笑顔はなく、クールな顔だ。
イライラしているのかもしれない。
「あ、あのさ、これわからんのやけど」
「これ、前も教えたよ?」
明らかに梨央の態度が冷たい。
だが、帰る様子もなく、いつもように淡々と勉強している。
(何か怒らせることをしたのか?)
奏汰がいくら考えてみても答えはでない。
色々考えてしまい、集中できず問題を間違えてまた冷たく返事をされてしまう。
最後まで理由がわからぬまま「今日はこれで終わりね」と言って梨央が片付け始めた。
奏汰はしょんぼりとした気持ちで片付けて、一緒にカフェを出る。
「じゃあ、私こっちなので」
そう言って梨央が反対方向を向いて去っていく。
(このままじゃ・・・)
「ちょっと待って!」
梨央のところまで走ると、梨央は下を向いて目を合わしてはくれないが、待ってくれた。
「俺、何かした?大久保の気に障ること」
「・・・別に」
「いや、明らかに機嫌がよくないっていうか・・・ほんまはこんな言い方よくないと思うんやけど、女の子と仲良く話したりとかってあんまりないし、どういうたらいいかわからんから・・・。なんか失礼なこととかしてたら、ごめん!」
奏汰が頭を下げると、「・・・藤沢さんとは仲いいよね」と小さな声が聞こえた。
「藤沢?」
「・・・この前二人できなこちゃん連れて歩いてるのをみました」
「藤沢は女の子の枠じゃないっていうか、小学校から知ってるから誠と同じ感じで話せるって言うか・・・上手く言えへんけど。あの日も昔遊んだことある神社の裏に行って、川見てきただけやし。めっちゃ綺麗な川でさ、今度大久保も行こ?な?」
なんでこんな言い訳しているんだろうと思いながら、祈るような気持ちで梨央をみると、梨央は少し表情をゆるめて「・・・行ってもいいよ」と言った。
「じゃあさ、俺も1つ聞いてもええ?」
「うん、いいよ」
「藤堂のことなんやけど・・・」
藤堂とデートをしているところを見てしまったことを話すと、驚いた表情をしながら「あれはデートじゃないです!」と珍しく大きな声で言ってきた。
「あまりにもしつこく勉強の邪魔をするので、やめてほしいと改めて伝えたんです。そしたら、一度だけ自分とも出かけて勉強を教えてほしい、そうしてくれたらもうしつこくしないからって言われて・・・」
「なんや・・・、そういうわけやったんや」
「最後告白されたんですけど・・・」
「告白!?」
「お断りしました。これで勉強を邪魔されることはないと思います」
梨央はそういうと、くるっと奏汰に背を向けた。
「ふ、2人で勉強することは、私にとっては大事な時間なので・・・」
そういうと、「じゃあ、また明日」とそのまま帰ってしまった。
その場には顔を真っ赤にした奏汰だけが残された。
そして翌日も学校へ行くと、藤志朗がいつものように梨央に話しかけている。
「と、藤志朗、お前・・・」
奏汰がそういうと、髪をいじりながら、「僕は一途なんでね」と白い歯を見せて笑った。
「まだまだ大変そうですなぁ」
誠が後ろからかうように声をかけてくる。
奏汰はため息をつくと、いつもの自分の席に座った。
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