僕の本当の初恋!⑤亜子編

崔 梨遙(再)

1話完結:1700字

 亜子も父母の、正確には母の友人。僕より20歳くらい年上だった。僕が亜子と初めて出会ったのは、僕がまだ幼稚園か小学校の低学年。亜子はまだ20代の後半だったと思う。亜子には旦那様と息子の翼がいた。翼は僕と同じ年頃だった。


 僕は翼に興味は無かったが、親同士が親しくて、時々一緒に遊ばされることがあった。そういう時、僕は喜んで翼と遊んだ。翼の家に行くと亜子がいるからだ。亜子は小柄でとてもかわいい女性だった。僕は、亜子にも憧れの想いを抱いていた。


 亜子は茶髪で、パーマをかけたり、肩から上で揃えたり、お洒落でよく髪型を変えていた。僕は亜子の髪型が変わる度に新鮮さを感じてドキッとしたものだ。


 亜子はおっとりしていて、そこが良かった。とにかく優しい。僕は亜子から女性の魅力と母性を感じていた。亜子はかわいい。とにかくかわいかった。小柄だったから、余計にかわいく見えたのかもしれない。亜子に対する憧れの想いは強くなる。


 あれは、小学4年生の夏、僕が父母の友人の珉とお風呂に入った後のことだった(※シリーズ①参照)。夏休み前に翼とプールに行く約束をしていたので、僕は亜子の(翼の)マンションの呼び鈴を鳴らした。亜子が出て来た。


「崔君、どうしたん?」

「翼君とプールに行く約束をしてたから来ました」

「え! そうなん? 翼は家におらんよ」

「どこにいるんですか?」

「田舎に行ってる。旦那の実家。九州やで」

「え! そうなんですか? ほな、プールは諦めますわ」

「それは申し訳無いなぁ、とりあえず、暑いやろ? 部屋に入りいや」

「あ、ほな、お邪魔します」

「ジュース飲むやろ、ちょっと待っててな」

「翼君はいつ頃帰ってくるんですか?」

「1週間後くらいやわ」

「なんで亜子さんは行かなかったんですか?」

「夏風邪ひいてん。もう治ったけど。それで、私は留守番することになってん」

「ふうん、そうですか。ほな、プールは諦めます」

「なあ、崔君」

「なんですか?」

「私がプールに連れて行ってあげよか?」

「いいんですか?」

「私、日焼けしたくないから屋内プールやで。それでも良かったら」

「それでいいです。一緒にプールに行きます」



 プールは最高だった。亜子は僕を後ろから抱き締めてウオータースライダーを滑ってくれた。背中に亜子の胸が当たる、その感触に“ほげ~”っとしてしまった。何より、亜子の黄色いビキニ姿が美しかった。


「そろそろ帰ろうか? 夕飯の支度があるから。崔君も夕飯を食べて行ったらええねん。一緒に晩ご飯を食べようや。ね! そうしよう」

「はい、いただきます」



 そして、再び亜子宅。帰るなり、亜子は“風呂に入る”と言い出した。そして、待ちに待っていた言葉、


「崔君も一緒に入る?」


 この言葉が欲しかったのだ。僕は以前に父母の友人の珉と風呂に入ったことで少し心に余裕があった。成功体験は自信に結びつくようだった。僕は勿論、亜子と一緒に風呂に入った。


 こんな幸せな時間があって良かったのだろうか? 亜子とお風呂。長身巨乳の珉とはまた少し違う亜子の魅力。胸は珉と比べたら小さかったが、充分キレイだった。背中を流し合い、家庭用の大きくない湯船に2人で浸かった。密着できたのが良かった。照れつつ、喜びつつ、顔を赤らめている内に風呂から上がっていた。性欲はまだ無かったが、ただただ、女性の柔らかさと温もりが心地よかった。亜子を見て思った。“やっぱり、女性は美しい!”、“僕も将来、亜子みたいなかわいい女性を嫁にするぞ!”と。


 その日、夕食のカレーライスをいただいてから帰った。それ以降、一緒にプールに行ったり一緒に風呂に入るチャンスは勿論無かった。だからこそ、貴重な思い出となって良かったのだと思う。僕は幸せ者だ。母には風呂に入れてもらえなかったが、父母の友人が、素敵な女性達が風呂に入れてくれたのだから。



 性に目覚める前だったけど、美しいものを美しいと素直に思う心はあった。僕は『美術品』を鑑賞できたのだ。珉とは違う女性の美しさを教えてくれた亜子さん、ありがとう! あなたのことは忘れません。思い出の中のあなたは、あの美しかった若き日のままです!







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僕の本当の初恋!⑤亜子編 崔 梨遙(再) @sairiyousai

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