第9話
モリゾウがGew43を手に入れ、それで頭を破壊した所でドイツ小銃ツリーは終了を迎える。理由は簡単MP38で開発が止まっている為、MP40の開発に行き着いていないのが原因だ。
「と、言うかマジで何でソ連系の銃無いんだ?
どこで手に入れれる?このゲーム、まだまだ未達エリア多いとか聞くけど其処にあんの?
ナガンとかカラシニコフ弾あるから、絶対どっかにあるだろう」
モリゾウはMP38に持ち替えて残る頭を単発の指切り射撃で攻撃していく。威力が数倍落ちるのと、念の為に買っておいた予備弾倉3つ使っても倒せない。
「そーだよなーカービンで150発なんだから、9mmパラなんざ600発くらい必要なんじゃねーかな畜生!!
そもそも600発なんかねーよ!死んで戻るか!?」
モリゾウは取り敢えず、それは俺のプライドが許さんとMP32の持ち弾全てを撃ち込んだ。案の定弾切れでも撃破出来ない。
仕方ないので未だに使っていなかった銃器全てを並べる。
「デ・リーズル・カービンの進化先!エンフィールドNo.4だ!」
エンフィールドNo.4はイギリス軍が長きにわたり使いカナダの国境警備隊も2013年頃まで使われていた。
先ほどからずっと土台代わりに使っているMPL50に乗せて残る頭を攻撃していく。エンフィールドの弾を全て叩き込んだ所で撃破、残る頭は5つになる。
「AR15系弾倉は昨日店長にいっぱい貰ったから、M4育てるか。あんま好きじゃ無いんだよなーAR15系。いや、AR10も好きくないけど」
モリゾウはうんざりしたようにセミオートに選択して引き金を引く。
「どーせならFALとかG3欲しいよな。
どっから出てくんだ?バトルライフルだからM14は達成してるだろ?
やっぱStG44出さにゃ行かんのか?
つーか、ロシア武器ルートマジで開拓してぇ!!AK!カラシニコフ!ドラグノフ!ニコノフ!デクチャレフ!!俺だー!!モリゾウだー!!助けてくれ!!
リリカルトカレフキルゼムオールって言うだろうが!!」
モリゾウは訳のわからない事を叫び、M4で頭を一つ破壊した。これで半数壊した事になる。そして、次の瞬間ヤマタノオロチは大きく叫ぶと周りに毒の霧を吐き出した。
「うぉ!やっべ……くない。
ガスマスク最強じゃん」
ステータスを見るが、毒等による効果で耐久値等減少が無いのだ。モリゾウはやはり知らないが装備による環境効果無効、この場合は毒無効は視界や持久力のマイナスによるデバフで耐久値減少等が無いのだ。
このデバフ故に基本的に魔術やポーション等の魔力や金で解決するのが主流である。
モリゾウは猛毒の中伏せて延々とヤマタノオロチの頭を壊していく。M4は頭を二つ壊して漸くA1に進化する。
「あー現代の銃だとかなり経験値必要なのか。
時間とかの効率考えるとヤマタノオロチはかなり経験値効率良いな。つーか、このゲームはボスはリポップするかな?
するよな。普通にマルチプレイオンラインだし」
そしてA1で更に頭を二つ潰す。しかし、次の枝は進めなかった。まだ達成条件が無いのだろう。
「あーなんだ?
M16系行ってみる?」
M16はテンチョーが開発したA4で止まってるのだ。
「AR10育ててSR25出すか?
A4の後の枝は出て無いもんな。テンチョー曰くMk.12出るんじゃねーかって話だもんなー
Mk.12って使えんってマイク・カイルが言ってなかったっけ?
SR25だっけ?」
モリゾウはまぁ良いかとAR10を取り出した。
残った頭に対して狙いを定めて撃てばM4では味わえない強烈な衝撃が肩を襲った。
「おーやっぱ30口径よな」
装弾数は20発だが、7.62ミリ×51弾は買ってないのでこの20発弾倉分だけだ。射耗した分は回復しない。
「やだもー結局M4じゃん」
モリゾウはため息を吐いて残弾数を確認する事にした。
ステータスを開きアイテムから攻撃に使えるあらゆる物を取り出しておく。
「9mmが残弾ゼロかー
まー全弾撃ったもんなー後はなんだ?.45弾か。デ・リーズルカービン用に結構買ったもんなー
サプ付き武器って何があるんだっけなー
VSSほしい」
モリゾウは並べられた弾薬を前に寝転がる。
「あ、手榴弾あんの忘れてた」
手榴弾は20個だった。全部罠線を付けようと買ったのだ。モリゾウは首を傾げ、それから寝転がったまま頭が二つしかないヤマタノオロチを眺める。
「そういやインド人は笛吹くと蛇操れたなー」
モリゾウはそんな事を宣いながら毒ガスの中でゴロゴロし始める。飽きたのだ。完璧に飽き、集中力も切れたのだ。
「ログアウトしなきゃ良いもんな。
今何時だよ」
モリゾウは時計を見ると20時を回っていた。
それからサーバーを連結したメールボックスをチェックするとテンチョーがレベル上げしんどいと言うメールが来ている。トドマンからはマドセンがBz26とラハティ軽機関銃に、M1909がMG08/15になったと来た。
「おーM1909がMG08になったのかー
俺も二人に送っとこー」
いえーいとポーズを決めて背後のヤマタノオロチとM4A1やMP38等と共にスクショを撮った。そして、二人に送る。
それからログアウトせずにゲームから離脱。フルダイブ式には緊急時やトイレ休憩や急な来客等でログアウトせずに離脱出来る機能がある。
それを使って休憩をする。
「やっぱ、ぶっ通しやってると喉も腹も乾いて減ったな。
夕飯買いに行くか」
十三郎は財布をポケットに押し込んで外に出る。
既に日は沈み、夜も更けていた。十三郎はコンビニ目指して歩いて行くスマホを見ると何件かメッセージが来ており、全部部長と三好であった。
「あんだぁ?」
メッセージを開き其々を漸くすると部室に来いって行ったのに何でこねーんだ、とその件で三好がバイト終わりに行くから21時ごろには家にいろと言う物だった。
時計を確認しても全然余裕だったのでコンビニに入り雑誌コーナーに向かうと月刊タイプのゲーム雑誌にUTSのアプデまとめの特集が出ていた。
十三郎は目に留まったのでペラペラと記事を読んでいく。全体的に好評だが新職種と武器、そして種族、つまりは今のモリゾウ、テンチョー、トドマンの格好は最悪だと評していた。
十三郎はそんな雑誌の発行日を見ると昨日であった。
「ウハハ!
この記事全く逆の事なってんな、UTS。馬鹿がよー」
十三郎はペラペラと雑誌をめくりながら鼻で笑い棚に戻す。
「UTS、うるとぅる?飽きてきたなー
帰ってもヤマタノオロチだしなー
夕飯何買おう?」
十三郎が独り言をブツブツ言いながらエナジードリンクと大盛りのペペロンチーノ、UTSとコラボしていて抽選で頭の飾りが当たると言うお茶を買った。
「温めます?」
「お願いしまーす」
十三郎はレンチンを待つ間、後ろの客が会計をする為に商品を置く。客はギャルっぽい女子高生で店員と親しげに話しているからきっとバイト上がりのギャルJKなんだろうな、と勝手な事を考えつつ手元のスマホを見る。
すると店長からメールが来ていた。二人とも現在進行形でまた高レベルプレイヤー狩りをしてるらしい。十三郎は思わず笑ってしまう。
「あの人等やり過ぎでしょ」
テンチョーがピースしている背景にはトドマンがM1917で騎馬突撃している最中のプレイヤー達を薙ぎ倒すと言う第一次大戦も斯やと言う写真だった。
二人とも例に漏れずブーニーハットを被っている。
「お客様ーお待たせしましたー」
店員がチンが終わったパスタを十三郎に差し出したので、それを受け取ってから店の外に出る。
店先にはギャルJKがスマホを見ながら目を見開き、何でよと焦った様な怒った様な顔をしていた。十三郎はどーでも良いので自身のアパートまで行くと、玄関先に誰か立っていた。
LED照明ではなく蛍光灯の、しかもそろそろ切れそうなのか若干の薄暗さもあり十三郎は普通に変な声が出そうになる。
「あ、三好か」
そして、足音を消しつつ目を凝らせばそれは三好であった。
「あ、森野くん!」
三好は十三郎を認めると少し嬉しそうに駆け寄って来た。時計を見ると20時20分ほどだ。
「バイト、少し早く終わって早めに着いたんだ」
「あ、そーなの。
夕飯買いに行ってんだわ」
メンゴーと大して悪いと思って居ない謝罪をしながら鍵を開ける。
「部長なんてー?
中で話す?コーラぐらいなら出るぞ」
「じゃあお言葉に甘えて」
三好は失礼しますと部屋に入って行く。三好が想像したより綺麗に片付いていた。
「あら、思ったより綺麗な部屋」
「あー、偶に史華が……木下な。彼奴が遊びに来るついでに掃除してくれるんだよなー」
「は?」
十三郎の言葉に三好の笑顔が固まった。
「史華とは中学からの腐れ縁でさー
まーゲームは下手だけどやっぱリアルで話わかる相手居ると良いよねー
んで、部長なんて?」
十三郎は史華がいつも使っているクッションを差し出しつつ、冷蔵庫からコーラを取り出してこれまた史華が使っているグラスに氷を入れてコーラを注ぐ。
「あ、う、うん。
森野くんって、CoOしかやってないから部長がせっかくゲーム部いるんだから皆んなでゲームするぞって、これ」
三好が差し出したのはUTSのパッケージだった。
「あーそれもう持ってる。つーか、今やってる最中だわ」
「え?持ってるの!?」
「おーつい3日前に買ってなー」
「あ、本当に始めたばっかなんだ。
じ、実は私もやってるだよ?」
三好が少しドキドキした様子で告げる。
「へーまー、やってるか」
「それでね、部長が22時に始まりの街ファーステイの噴水前に集合って言っててね」
「えー?
まじー?まー了解。
出来る限り間に合う様に行くわ。史華も持ってるって言ってたし呼んどくわ」
十三郎はメシ食うわと食べ始める。
「三好は今から帰るん?」
「えっと、ね。本当はある程度森野くんにレクチャーしようと思ってゲーム持って来てて……」
三好は言うとカバンからフルダイブ用のデバイスを取り出した。
「あー、そうか。
んーちょっと待ってて」
十三郎はヨイショとキャンプとかで使うコットを取り出してその上にエアーマットを敷くと毛布を差し出した。
「史華がいつも俺ん家でゲームやる際のセット。
今変な場所居るから好きにゲームしてて良いぞー俺も飯食ってから直ぐ行くわ」
「え、あ、はい。分かりました……」
三好が釈然としないと言う顔で史華の匂いが着いたマットと毛布に包まってログインする脇で十三郎は史華に22時に部長がUTSのファーストイで集合ってさ、とメールを送った。
十三郎はものの5分で大盛りペペロンチーノを食べ終え、歯磨きをしてエナジードリンクを飲み干す。
「おーし、あのクソ蛇!!
グレネード戦法行くしかねぇ!!」
十三郎は待ってろこの野郎とデバイスを被ると状況は変わっていない。モリゾウは相変わらず涅槃像の様な体勢で暴れ狂う頭が二つのヤマタノオロチが居る。
モリゾウは取りあえず両手にMk.2手榴弾、通称パイナップルを持ってヤマタノオロチは向けて走り出す。
30メートルほどまで接近するとヤマタノオロチはモリゾウを感知した。
「バカたれもう遅いわ!」
モリゾウはピンを抜いて大きく開けた口二つにパイナップルを投げ込んだ。
放物線を描きながら、毒霧を吐こうした二つの頭はものの見事にパイナップルを食す。
「美味いか?
TNTだかニトロだか忘れたが、火薬の味はどーだ?」
直後口を閉じたせいでより爆発の威力が高まったせいでヤマタノオロチの頭は同時に弾け飛ぶ。それに合わせてファンファーレが鳴った。
“緊急クエスト:ヤマタノオロチ?を討伐せよを、クリアしました”
と出た。ドロップアイテムには“8つ頭のヒュドラの鱗”とか“8つ頭のヒュドラの牙”だの8つ頭のヒュドラと言う名前が付いたアイテムが大量に出た来た。モリゾウはそんなもんはどうでも良いと地面に落ちたアイテム等を大急ぎで回収すると扉の外に出る。
外にはゲイルが相変わらず待っていた。
「あ、アンタ!ヤマタノオロチ倒しちまったのか!?」
「そうだよ。
それより外に出たいんだけどワープポイント的なの無いんか?」
モリゾウは早く出たいとゲイルに告る。ゲイルはあるぞと何やら羽を差し出した。
「何これ?」
「帰還の羽毛だ。ダンジョンの入り口まで戻れる」
「おー!さっさと使うぞ!」
モリゾウが言うとゲイルは頷いて羽を振る。モリゾウとゲイルの身体は光に包まれ、あった言う間に外に出る。
「おっしゃぁ!!!
外に出たぞゴラァ!!」
「アンタ、戻って来たのか!?」
外にいた婆NPCがモリゾウに話しかけてくる。
「そーだよ。
2度とやんねーからな。お前、いきなりクエストふっかけてくんな。次やったらお前ぶっ殺すからな!!!」
モリゾウはババア!と睨み付けて武器屋に向かう。そして、切れた弾を補給して弾倉を買う。
「そういえば、スコープ売ってたな。
ZF-4だっけ?あれと、ACOG買っとくか」
モリゾウはスコープ類やサプレッサー、弾倉等を買う。武器自体を確認する。何か増えていないか?と確認をすると、二十六年式拳銃があった。
「今更二十六年式?まぁ、買うけどさー」
それから防具屋に行きアイテムを見る。モリゾウの欲しそうなアイテムは無く、仕方ないとロシアの銃への執着からかウシャンカを買った。
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