雅(みやび)美し

ありもと優

第1話 華乱ベッド




 


 今宵のベッドに眠るひと

 運命に狂ふ

 息を潜めて

 身体を止めて

 心の静寂に身を落とす



 揺れる切なさに胸を焦がすなら

 乞食にもなれるであろう




 寂しさの衣の袖より

 夜になびく髪がひかる



 眠るまで枕を横に沈めて

 あなたの手から指から

 私の身体中の糸を引きちぎって

 もしも

 つよく熱情に喘いだなら

 唇を静かにふさいで


 だけど魂は預けない

 それが宿命

 


 華は散り散り枯れる




 今宵は夢の場所

 新しい客人

 敷いた布が熱くなるまで

 繰り返される



 私の居場所

 ここには闇夜だけ

 朝は消える

 鼻先に残るグリーンの香り

 明日の願いは宙に浮かぶ



 

*あなたの意中の人になれたかどうかは、定かではない。ただの一夜の交わりに全精魂を込めた女人。


 次の日には、違う女性が、あなたに抱かれる。

 朝がないここに、悲しみは響かない。


 香りの記憶に、かすかな願いを込めて宙を見つめる。















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