第2話

買ってきたカップラーメンにお湯を注いでからやっと、メッセージが来ていることに気づいた僕は、スマホを手に取った。

かずまからだった。

『明日一緒に行こって言ってたゲイバーのことで相談なんだけど』

かずまは、僕の幼馴染で、ゲイである。最近親や周りの人にカミングアウトして、今は恋愛相手を募集している。

『どした?』

メッセージを送ると、帰ってきたのは不安であるという言葉だった。

『こんな俺でも、恋人ってできるのかな』

『大丈夫だよ、僕が保証するから!』

かずまがカミングアウトした時は、僕もそれなりに手伝った。その時もちゃんと相手の顔を見て言えていたので、心配はいらないだろうと思って答える。

かずまはだんだん、勇気が出てきたようである。

『ありがと、ゆうとと幼馴染でよかった!』

どういたしまして、と答えて、スマホを置いた。

その時僕、石上ゆうとはまだ気が付いていなかった。

翌日訪れる、最悪にして最高な出会いを。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る