第3話
「あなたたちがどういう存在かはわかったよ」
「それはなによりです」
「じゃあ、わたしとつきあってくれるー?」
「いや、女の子同士とかちょっと……」
ミズホはちらりと同人誌を見る。相もかわらず、部屋の角の方に落ちている同人誌には女の子とユリの花が描かれている。
「おや、ミズホは遅れていますのね」
「……過去の人間だからね」
「そういう意味ではないのですが」
いろはが手をワキワキさせる。それを見ても、ミズホにはなにも思わなかった。
「ベッドの上では可愛い悲鳴を上げてくれますのに」
「ベッドの上?」
「ええ。首筋に舌を
「なに言ってるのさ。官能小説でも読んでるつもりなの?」
ミズホの言葉に、いろはが目をぱちくりさせた。
「…………まあいいですよ。
ミズホは将来の自分のことを想像してみる。ソファでだらけている女しかイメージできなくて、すぐにやめた。
「いろはお姉さまといっしょにいるときはねー、いっつも顔が赤いんだよ。だから心配になるんだー」
「心配しなくて結構。ワタシとミズホの個人的な関係なのですから、ね」
ぞぞぞっとミズホの腕に、鳥肌が立った。
イヤな予感がした。だが、いろははただ
「と、とにかく。過去のわたしんとこにやってきたのは?」
「もちろん世界を守るためです」
「うんうん、でもやっぱり女の子とは――へ?」
「ですから、ワタシたちは対邪神用人型決戦兵器なのですよ。であるからには、邪神と戦うのが使命に決まっているではないですか」
ミズホはキョウを見た。赤べこみたいに首を縦に振っていた。
「ほ、ホントに? わたしと付き合うためっていうのは」
「それも本当です」
「あ、そう」
「ですが――それはワタシとキョウの趣味でしかありません」
キョウがシュッシュとシャドーボクシングする。その姿は兵器というより幼女であった。
「最初っからそう言ってくれたらよかったのに」
「どうしてですか?」
「好きな人を拘束したいとか言ってたし、変なイヌは捕まえてたしで怖かったんだよ」
「怖い、ですか」
「うん。正直言って今すぐ出ていってほしいくらいには、ヤバい人たちだと思ってる」
「実はー?」
「実はもなにも、かわらないけど」
姉妹の目がそろってミズホを向いた。
あまりにもシンクロしていたために、ミズホは短い悲鳴を上げる。
「な、なにさ」
「わからせる必要がありますね」
「だねだねっ」
「あ、ちょ。なんでにじり寄ってくんの。ってか、そのヒモどこで見つけたの!?」
制止の声もむなしく、ムチがしなるような音がした。
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