G-02:私の擬態杯への挑戦

 どうやらあのベニヤさんの擬態杯なんてものが開催されるみたいだ。私も参加してみようかと、とりあえず要項を読んでみる。

 ふむふむ。なんと、自分から声をかけて積極的に開催へ協力したのか。その上コメンテーターとして参加者全てにコメントまでしてくれるとは。

 おお、更には御本人自ら擬態法をまとめてくれている。まずは概要。知らない方への自己紹介。私は知っている経歴だけど、なかなか波乱万丈で苦労しているんだよね。それでも続けているのは本当に尊敬する。自画自賛をする一方で自虐ネタも多い。これが嫌味にならないのは人徳なんだろうな。

 そして次。アイドルが好き。まあ当然だ。だからテーマが「みんなのアイドル」なんだし。でもわざわざ「みんなの」をつけたのはどんな理由なんだろう……。奇抜で一部から熱狂的に好かれるアイドルより、幅広い層のファンから愛されるアイドルって事なのかも。「アイドルは恋愛禁止」にもかかってくるのかな。これも当たり前で、スキャンダルに厳しい物言いをしているのを見た事がある。

 でも最近で言えば『「見せたくない」は恋の始まり』なんてフレーズを出したように、アイドルと恋愛は切り離せない。恋を知らない人間がラブソングを歌うより、実体験を込めた方が説得力も出るんだろう。でもやっぱりアイドルにはファンみんなが恋人であってほしいかな……。

 次は……うん。確かに豊富な経験や人脈を活かしているのか、よく濃い面子を集めて出してくる。この前も将棋の神童、ドジっ子女神、鳳凰族のハーフでユニットを結成してたし。懐が広いというか自由というか、いや話題作りの戦略なのか。まあ軍人系アイドルなんてのもいるから今更だよね。私も恥ずかしいとかウケないかもとか考えず、はっちゃけてみようかな。

 それから、確かに突飛な言動が目立つけど、基本を守った王道が持ち味。明るく、楽しく、分かりやすく、はファンに広く届ける為の大事な心構えだ。インパクトある設定で話題になっても中身が伴わないと話にならない。私もちゃんと肝に銘じておかないとな。

 そして自分の責務を果たそうと色々考え努力を重ねている。王道のパフォーマンスから暴走気味な発想まで、全てが本気のハイクオリティ。過去のネタを上辺だけ真似したところでとても敵わない。

 いやあ、自分の戦略や秘訣を惜しげなく披露していて、これだけでも読み応えのある文章だった。本当にマルチな才能に溢れているなあ。業界全体の発展に尽くしてくれている感じがして本当にこの居場所が好きなんだと伝わってくる。

 それにリンク先を見ていたら改めてシンプルな実力の高さを実感した。プレイヤーとしても裏方としても一流の腕。多方面で活躍が華々しい。

 その実力に裏打ちされた人気はこの企画が成立する時点で推し量れる。やっぱり擬態なんておこがましいと思う程凄い人だなあ。


 でも、だからこそ「die Liebe allerわたしたち」にとって大きなチャンス。憧れの存在に見てもらえるという意味でも、いまいち伸び悩んでる状況を変えるという意味でも。

 歌とダンスだけじゃなく衣装やトーク、ステージ演出まで要求される難しいイベントだけど、この新世代スター発掘みんなのアイドル企画+紅谷ベニヤ萌歌モカ擬態杯で結果を残して、みんなのアイドルになってみせる。

 さあて、そうと決まればメンバー皆で作戦会議だ。揃うまでは完コピの為にもっと資料を集めておこう。あれ、匿名短文みんなのアイドル企画(+板野かも擬態杯)なんてのもやってるんだ。微妙に似てて紛らわしいな。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る