第17話 新婚旅行での大暴露
さて、一生で最も楽しい筈の新婚旅行も、3泊4日の最後の、3泊目になった。
有名な観光地や動物園の見学、高級ブティック等での買い物を終えて、二人、ホテルに戻って、ホテル内の日本食レストランで、夕食を食べる事にした。
お酒も、少々だが、スイート・ルームに持って来るように、既に、前もって頼んであった。
さて、スイート・ルームに戻ってから、この私は、明菜ちゃんに、あるお願いをしてみる事にしたのだ。
今まで、只の一度もさせて貰えていなかった、あるお願いを、今晩だけでもさせて貰う、つもりだったのだ。
で、彼女の機嫌を損ねないように、注意に注意を払い、御機嫌を取りながら、次のように言ってみたのだ。
「ねえ、明菜ちゃん、今日は、この新婚旅行最後の日だよね。
で、この私から、今まで一度もさせて貰った事の無い、お願いをしたいのだけれども……」
「それって、一体、何?」
「これは、かって、警視庁の金田刑事から聞いたのだけど、明菜ちゃんが、「万能荘連続不同意性交殺人事件」が起きた時、最初から、内部犯行説を唱えていて、例の佐藤萌の自作自演説を唱えたのは、『カクヨム』で読んだ、変態三流作家の「立花 優」の小説のトリックそのものがヒントになったと言っていたのだと、この私も、聞いたんだよ。
で、私も、色色、小説投稿サイトを見て見ると、別のサイトに、この「立花 優」が、『ライ麦畑のプレデター(捕食者)』が、まだ、載っていたのさ。
『カクヨム』では、既に完全に削除されていたのだが、別の、サイトではまだ残っていたのだよ。で早速、まあ、読んで見てだがね、ハッキリ言えば、完全な変態小説だったよ。……だが、これを読んで、余計、興味が湧いてきたのさ。
だからさあ、この私の、一生に一回のみの頼みとは、今日のみは、後ろから、あの『ライ麦畑のプレデター(捕食者)』のように、入れさせて貰え無いだろうか?
この新婚旅行最終日の思い出話にねえ……」
ここまでの、私の口ぶりは、極極、丁寧なものだった。
しかし、案の上、
「絶対イヤよ。この私に、犬のような真似をしろとでも言うの。
私は、人間だし、犬じゃないわよ。私の、大事な大事なプライドにかけても、絶対に許可できないわよ!」
「どうしても駄目?」
「どうしても駄目よ。無理やり行うなら、日本へ帰って不同意性交罪で訴えるわよ」
このどうしようも無い、堅い決意を聞いて、私は、遂に豹変するのであった。
ここで、彼女のお酒に、「超短時間作用型の睡眠導入剤」の「マイスリー」(ゾルピデム)の錠剤を、擦り潰してあったものを極少量を混入したのだった。彼女が気が付かぬようにだ。
速効、彼女は眠りに入ったのだ。
◆ ◆ ◆
だが、急に、目が覚めた明菜ちゃんは、何と超驚愕した。
「超短時間作用型の睡眠導入剤」の「マイスリー」(ゾルピデム)の効果は、約10分から20分で消えるのである。つまり、逆に言えば、そこで目が覚める事にもなるのだ。
で、何と、自分の両手や両足が、ベッドに、強くビニールロープで縛られているでは無いか。
これでは、ベッドの上で、何とか四つん這いになるのが、精一杯の状態なのだ。
「純一さん、き、き、気でも狂ったの?
こ、ここまでして、私を、後ろから襲う気なの?
でも、このままじゃ終わらないのよ。必ず警察に、訴えてやるから!」
「はいはいはい、明菜ちゃんが、今日の記憶がまだ明日まで、残っていればね。
さーて、サイは投げられた。
後は、雰囲気作りからだな。まずは、音楽スタートだ」
と、ここで、私のスマホからは、日本を出発する前から録音していた「聖飢魔II」(せいきまつ)の有名な曲、デーモン小暮閣下が唄う『蝋人形の館』のイントロを流し始めた。
そして、あの有名な台詞(せりふ)もだ。
「お・ま・え・に、 う・し・ろ・か・ら、 入・れ・て・や・ろ・う・か!!!」
(早口の絶叫で!!!)「お前に、後ろから、入れてやろうか!!!」
「い、い、一体、何を、馬鹿な事を言っているのよ。純一さん、正気に戻ってよ!」
「ああ、私は、元々、正気なのだよ。
で、今から、多分、明日には、全てを忘れている明菜ちゃんに、これまでの真実の話を話してあげよう……」
「一体、何の真実の話なの?」
「あの、「人喰村」に関連する全ての事件の、本当の、真実をだよ」
「え、えっ、あの一連の事件に純一さんは、全く何の関係も無い筈では?」
「まあ、実はそう言う訳でも無いんだよ。だから今から、明菜ちゃんに、全てを話をしてあげるのだよ」
◆ ◆ ◆
明菜ちゃんの眼前には、大きな縦型の鏡が、無造作に置かれている。
それを見た瞬間、
「あっ、純一さん、アレが、前よりも結構大きくなっている。一体全体、どうしたのよ?」
「フン、こう言う事もあろうかと、既に、次世代型のED薬を極少量、飲んでいるのさ。
勃起力のみならず、大きさも長さも大きくなると共に、持続時間もSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害剤)を含んでいるため、上手く行けば一時間程度も持つのだと言う宣伝文句だ。
これを飲んで、明菜ちゃんとの新婚旅行との思い出を、一生涯、忘れ難いものにするためにもね……」
そう言って、この私は、ユックリと、明菜ちゃんのネグリジェと下着を、それはそれは、丁寧に脱がし始めた。
「ああ、もう、本当に、こう言う事だけは、もの凄く、親切なのよね。純一さんって」
「ああ、これから、ユックリと入れさせて貰うのでねえ。
明菜ちゃんよ。まさか忘れた訳でも無いだろうが、この私には、あの異様な青空精神科病院の院長の、青空郁夫医師の血が、半分混ざっているのだよ。
自分では、決して受け入れたくも無い事実なのだがねえ。
だから、この私の決心を、押して知るべきだろうが……、ああ、もう我慢が出来ない。今から入れさせてもらうよ」
こうして、凄く大きくなった私の男性器は、明菜ちゃんの中に、吸い込まれて行った。
「アアッ!」と、明菜ちゃんの絶叫が、部屋中に響く。
しかし、完全防音の部屋の声は、外には、絶対に漏れないのだ。
◆ ◆ ◆
「明菜ちゃん、まあ、ユックリ聞きなさいよ。
今回の、あの一連の「人肉食関連事件」の、ホントの黒幕は、実はだねえ、この私なのだと、自分では思っている」
「そ、そ、そんな馬鹿な!」と、猛烈にあえぎながらも、明菜ちゃんは、気丈に反論をしてくる。
実に、ユックリと前後に挿入しながらも、更に、私は、話を続ける。
「あの、「人肉食関連事件」の最初の発端は、あの年の4月中旬の慶早大学のミステリー研究会で、その年の「ミステリー探検ツアー」の行き先が、「人杭村」、いわゆる「人喰村」に決まった事に端を発するのだったよね。
これについては、明菜ちゃんも既に喝破していたように、あの狂人の妄想が書いたような『人喰村伝説考』を、皆が、盲目的に信じた事によるからなのだよ」
ここで、更に、グッと奥深く突っ込む。
「アウッ、でも確かに、それが全ての原点だった訳よね」
「この時、私は、「ミステリー探検ツアー」の行き先が、「人杭村」に決まった時の佐藤萌の異常な顔を見たのだ。決して、決して忘れようも無い、あの狂気に満ちた顔をだ。
多分、明菜ちゃんも、私と同じように、とっくに気が付いていたようにね。
そこなのだよ。そこで、佐藤萌に、私の得意の催眠術をかけて、あの「万能荘連続不同意性交殺人事件」を起こすように、上手く心理誘導をしたのさ。
それに、大学生二人を食べてしまったあの男の退院情報も、母親から、青空精神科病院長から聞いていたので、ある時、コソッリと会いに行って、誰でも良いから「人肉鍋」にして、食べるようにと、これも心理誘導をしたのさ」
「ハア、ハア、……では、佐藤彰の「幼女人肉食事件」も、純一さんの催眠術なの?」
「その通り、この私が、超強力な催眠術をかけたのさ」
「ハア、ハア、ハア、……でも、如何なる暗示もかけているようには全然見えなかったけど、アウッ!」
「悪い悪い、少し、突っ込み過ぎたかなあ。
だが、アメリカには、言葉を使わずに催眠術をかけるとも言われる、ミルトン・エリクソンと言う天才催眠術師がいたのだ。これは歴史的事実なのだよ。
今でも「エリクソニアン催眠術」として、催眠医学史にも名を残しているんだ」
「ウ、ウ、ウウッ、そんな馬鹿な事が?」
「そろそろ、全てが分かったかい。ああ、もう20分以上も挿入済みだ。そろそろ、これに集中させて貰うぜ」
あの異常に大きく太くなった、私の男性器の出し入れが、スピードを上げて来る。
「も、も、もう、駄目、は、は、早く終えてよ……」
「いやいやいや、多分、後ろからできるは今日のみだから、残りの時間を、思う存分に楽しませて貰うよ。明菜ちゃんよ、あしからず」
実は、この状況を、私は、横においたスマホでも、録画していたのだ。
明菜ちゃんの前の鏡にも、悶え苦しんでいる明菜ちゃんの顔が、映っている筈なのだ。
やがて、いよいよ、動きが激しくなる。
そろそろ出す時期かもしれない。
彼女の絶頂時に合わせて、この私も、出す。もはや、自分の意思でも止める事は不可能だったのだ。
やがて、全てが終わった後、私は、「後催眠暗示」をかけて、明菜ちゃんの催眠術を完全に解き、両手や両足の、ビニールロープも解いた。
やがて、二人は、そのまま、泥のように眠りについたのである。
こうして、驚愕の新婚旅行最終日は、どうにか、無事に終わったのだ。
そう、全てが、無事に終わった筈だったのだ……。
◆ ◆ ◆
次の日の朝、私が目覚めると、既に、明菜ちゃんは起きていて、二人分のコーヒーを入れてくれていた。
「ウーン、いつ、飲んでも、明菜ちゃんの入れてくれたコーヒーは、上手いなあ。
最高の味だよなあ……」
私は、完全に、彼女は昨日の事を忘れていると思い込んでいたので、特別に、饒舌だったのだ。
衝撃の彼女の次なる言葉を聞くまでは……。
「純一さん、昨日の夜は、最高だったわ。
多分、私の人生でも、超最高だったわね。
最高の、新婚旅行になったわね。
ありがとう。
今まで、私の超高いプライドから、無理を言って来て、後ろからやらせて上げなかった事は、今後は、謝るわね……」
うっ!と、私は、思わず、コーヒーを零(こぼ)しにかかかった。
「明菜ちゃん、昨日の事は、完全に忘れた筈じゃ無いのか?そ、そ、そんな筈はあり得無いのに……」
「いえいえいえ、全て、完全に覚えていますよ。
【お・ま・え・に、 う・し・ろ・か・ら、 入・れ・て・や・ろ・う・か!!!】
【お前に、後ろから、入れてやろうか!!!】
って、大声で言っていたのでは無いのですか?
『蝋人形の館』の曲を、スマホから、流しながらね……。
そして、この私に、今までできなかった、あの行為を、思う存分に行ったのでは無いのですか?
純一さん。昨日の晩の貴方の話では、全ての事件の裏に、貴方が自慢する天才的な催眠術が絡んでいると、どうも、貴方自身は、そう言うふうに思っているかもしれないけれど、多分、絶対にそれはあり得無いのよ。
現に、この私のように全くかからない人間もいるでしょう……。
昨日の、全ての話は、貴方の単なる自信過剰の思い込みなのよ。
だから、高校時代の同級生の○○さんも、多分、純一さんに若干の好意を持っていて、純一さんの催眠術にワザとかかったフリをして、全てを見せてくれたのに、違いが無いのだろうと、この私は、そう思うわ。
まあ、ちょっとした、若い乙女(おとめ)のぶっ飛んだ遊び心だったと、女の私には、直感的に分かるのよ」
「馬鹿な!○○さんは、多少の含み笑いはあったかも知れないが、大事な全てを、この私に見せたのだぜ。
では、この私が、昨日の晩のように豹変したら、これはある意味、非常に、危険な懸けなんだぜ?
何故だと言えば、その時、この私は、コンドームも何も持っていなかったからだよ。
だから、あの時代、性欲の頂点時みたいな、この私に全部見せるとは、と、と、とても信じられ無いのだが……」
「それはねえ、○○さんは、相手を、本当に冷静にキチンと見ていてね。
もっと、ハッキリ言えば、草食系男子の代表のような純一さんを、甘く見ていてね、若い乙女の遊び心で、少々「からかって」みただけの事よ。
それだけ、相手の女性から見れば、純一さんは軽く見られていたと言う事よね。
キットね、この私の、女性としての直感は当たっているわよ」
「しかし、しかし、しかし、では私の友人の早田直樹君は、私の催眠術のたった一回の施術で、一発で治ったと言っていたが?」
「それは、たまたま、偶然に治る時期が、純一さんの、偽催眠術と、かぶっただけだわ。
先程の、佐藤萌の話にしてもですよ。精神医学的には、実は全く、違うのですよ。
この私の兄は、東大医学部を出て、今は、医者兼研究者だけど、かって、兄に聞いた催眠術の話では、今までの研究でも、催眠術のみで相手を自殺させる事はできないのは、学会ではほぼ通説になっているらしいのよ。
まあ、相手を強烈に洗脳して他人を殺させる事は、全く不可能では無いらしいのだけれども、こと、本人自身を所謂(いわゆる)、強力催眠術のみで自殺させる場合は、人間自体の持つ「生への意欲」が強くて、どんなに強力な暗示をかけても、自殺させる事は出来ないらしいのよ。
だから、佐藤萌が自殺したのは、純一さんの似非催眠術では無くて、全く別の理由からだった筈なのよ……」
しかし、この明菜ちゃんの言葉を聞いて、この私の、頭は、混乱して来たのだ。
だが、東大医学部出の彼女の実の兄の説にも、確かに頷けるところがあるし、彼女の言う高校2年生の時の同級生の○○さんも、今思い返してみれば、ホンの少しニヤ笑いながらも、実にあっけらかんと、全てを見せてくれていたのだ。
これが、もしかしたら、明菜ちゃんの言う通りの、私への○○さんの若干の好意だったのか、それとも単なる、若気の至りの乙女のぶっ飛んだ遊び心だったかも知れないとの疑いは、こうなると、この私には、最早、完全には払拭しきれないのである。
何しろ、○○さんは、現役で、旧帝大の医学部に合格した程の秀才だったのである。だから、この私を、面白がって、「からかっていた」と言うのも、あながち、的外れでは無いのかもしれない。
では、一連の、「人肉食関連事件」の真実とは、その本当の黒幕とは、結局、一体全体、誰だったのだろうか?
この私の、似非催眠術が、結局、本当の黒幕で無いとするならばだが……。
ここから、この私には、次なる、大きな疑問が湧いて来たのである。
この奇妙な疑問は、この私には、更に一層の大きな推理上の疑問になって膨らんで来ていたのである。
ここで、故:林先生が、まだ生きていてくれれば、何とか、相談のしようもあるのだが、林先生は、もう、とっくに既に亡くなって久しいのだ。
だが、この私には、どうしても、この一連の「人肉食関連事件」の裏には、何かの黒幕と言うか、どうしても、うまく説明出来ないのだが、何処か遙か上から俯瞰していて、この「地獄絵図」を書いた人間がいたとしか思えないのだ。
それを、私は、自分の過信だけで、この私の天才的な催眠術が、全てのこの事件の裏にいたと思い込んでいたのだが、しかし、もし、この私の催眠術が、本当にホトンド効かなかったとすれば、では、一体、この事件の後ろに、コッソリと潜む「悪魔」とは、何物なのだろうか?
この疑問は、いつまでも私の頭にこびりついて、どうしても、解けなかったのだ!
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