第30話 闇の正体
銀河全体が未知のエネルギーに対する緊張と警戒を続ける中、宗介と浅倉は銀河協調プログラムの力を借りて、エネルギーの発生源に向けて進んでいた。銀河各地の科学者や技術者の協力によって、彼らの探査船には最新の分析装置と防衛システムが搭載され、銀河全体が彼らの旅を見守っていた。
エネルギーの発生源が近づくにつれ、周囲の空間は異様な雰囲気に包まれ、通常の星々の光すら歪むような感覚に襲われた。探査船の計器は不安定な数値を示し、彼らは慎重に進みながら、正体不明のエネルギーがもたらす脅威を感じ取っていた。
「このエネルギー、ただ事じゃない。何かが近くにいる……」
浅倉が警戒する中、宗介も集中して周囲を見回した。やがて、視界の先に現れたのは、かつてエクスティンクターが残したと思われる巨大な廃棄物の集積地であり、その周囲には無数の漂流物が浮かんでいた。その中心には、黒く輝く巨大な球体が浮かんでおり、そこから強力なエネルギーが発せられていた。
「この球体が……エネルギーの正体か?」
宗介がつぶやくと、突然、船の通信システムに割り込む形で不気味な声が響いた。
「ようこそ、地球の者たちよ。我々はエクスティンクターの意志を継ぐ者、アンビシャスと呼ばれる存在だ」
その声はエクスティンクターと同様に冷淡で、しかし、どこか歪んだ感情が感じられた。アンビシャスは、エクスティンクターの残された技術と知識を基に銀河の新たな支配者となるべく活動しているらしかった。
「エクスティンクターの意志を継ぐ者?お前たちは何が目的なんだ!」
宗介が問いかけると、アンビシャスの声は狂気じみた響きを増していった。
「我々の目的は単純だ。銀河を浄化し、弱き者たちを排除し、新たな秩序を作ること。そして、その秩序の頂点に立つのは我々――アンビシャスだ」
その言葉に、宗介と浅倉は怒りを覚えた。銀河全体が協力して築き上げた平和の価値を全く理解していないアンビシャスの言葉は、彼らの信念に真っ向から反するものだった。
「お前たちのような支配と恐怖で成り立つ秩序なんて、銀河には必要ない!俺たちは平和と協力の未来を守るためにここにいる。アンビシャス、お前たちの野望はここで終わらせる!」
宗介の強い決意の言葉に、アンビシャスの声が冷笑を浮かべて応えた。
「地球の者よ、ならばその決意を見せてみるがいい。我々の真の力を目の当たりにし、絶望の淵で震えるがいい」
その瞬間、球体から無数の小型機械が放出され、宗介たちの探査船に襲いかかってきた。機械はそれぞれが独立して動き、鋭いエネルギー砲を放ちながら船に攻撃を仕掛けてきた。宗介と浅倉は即座に防御システムを起動し、必死に回避行動を取りながら反撃の機会を伺った。
「くそっ、数が多すぎる……!」
浅倉が焦りの声を上げるが、宗介は冷静さを保ち、攻撃の隙を探していた。そして、彼はアンビシャスのエネルギー供給が球体の中心から行われていることに気づいた。
「浅倉、あの球体が奴らのエネルギーの中枢だ!そこを狙えば、攻撃を弱められるかもしれない!」
浅倉もその指示に従い、集中砲火を球体に向けた。しかし、アンビシャスの機械たちは巧妙に守りを固め、球体にダメージを与えることを阻んでいた。連携して攻撃を仕掛けるアンビシャスの巧妙さに、宗介は危機感を募らせた。
「これでは限界がある……だが、今の俺たちには銀河の仲間がいる!」
宗介は銀河協調プログラムを通じて、付近に配備されている銀河連合の仲間たちに応援を要請した。すぐに応答があり、複数の星系から派遣された連合の艦隊が彼らの元に到着した。
「よく来てくれた!全員であの球体に集中攻撃をかけるんだ!」
銀河連合の戦力が一斉に攻撃を開始し、アンビシャスの機械たちを押し返し始めた。連合の艦隊は連携し、アンビシャスの守りを次第に崩し、球体への道を切り開いていった。
「今だ、浅倉!全力で行くぞ!」
宗介と浅倉は探査船のエネルギーを全て球体に向けて集中させ、最後の一撃を放った。強烈な光が球体に命中し、ついにアンビシャスの中枢が崩壊を始めた。機械たちは次々と動きを止め、暗黒の球体は激しい閃光を放ちながら消滅していった。
「やった……これで、アンビシャスはもう動けないはずだ」
宗介は深い息をつき、勝利の実感に浸っていた。周囲にいた銀河連合の仲間たちも歓声を上げ、平和を守り抜いたことに安堵していた。
その後、アンビシャスの残された技術は銀河秩序評議会によって厳重に管理され、二度と銀河に脅威をもたらさないように封印された。宗介と浅倉の尽力により、銀河は再び平穏を取り戻した。
帰還の途中、浅倉が静かに言った。
「宗介、また俺たちが銀河を守ったな。でも、これで本当に終わりなのか?平和を守るには、まだやることがたくさんあるんじゃないか?」
宗介はその言葉に頷き、穏やかな笑顔を浮かべた。
「ああ、そうだな。だけど、こうして銀河中の仲間が力を合わせれば、どんな脅威も乗り越えられるってことが分かった。だから俺たちは、これからも協力して平和を守っていこう」
浅倉も微笑みながら答えた。
「そうだな。俺たちは一人じゃない。銀河全体が、俺たちの仲間だ」
こうして、宗介と浅倉は銀河の平和を守る新たな仲間と共に、未来への旅を続ける決意を新たにした。星々に見守られながら、彼らの冒険と使命は、果てしない銀河の中で続いていく。
平和への道は長いが、彼らは決して歩みを止めない。銀河に希望の光が灯り続ける限り、彼らの旅は終わらない――
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