第29話 希望の種
エクスティンクターとの激戦を経て、銀河全体は一時的な安定を取り戻した。銀河秩序評議会と地球防衛軍、そして銀河連合の協力によって、銀河の平和を守るための新たな方針が定められ、あらゆる星系が力を合わせて平和維持のための協定を結ぶこととなった。
戦いの後、宗介と浅倉は銀河秩序評議会に招かれ、その功績を称えられると共に、銀河の未来について話し合うための特別会議に出席した。評議会のリーダーが宗介に向けて言葉をかけた。
「宗介、浅倉、あなた方の勇気と献身のおかげで、銀河は新たな希望を取り戻すことができました。だが、私たちが未来のために学ばなければならないこともまた多いと感じています」
宗介はその言葉を受け止め、静かに頷いた。
「ありがとうございます。しかし、エクスティンクターの脅威は去りましたが、銀河にはまだ未知の危険が潜んでいるかもしれません。僕たち一人ひとりが銀河全体の平和に向けて努力を続けることが大切です」
評議会のリーダーも同意し、新しい協力体制を築くために、あらゆる星系が技術や知識を共有する場を設けることを提案した。この「銀河協調プログラム」と呼ばれる計画には、各惑星の優れた科学者や技術者が参加し、共通の脅威に備えた新たな防衛システムの開発が含まれていた。
会議を終えた宗介と浅倉は、地球防衛軍の仲間と共に帰路についた。船内で、浅倉は新たに結ばれた協定について考えを巡らせていた。
「宗介、こうして銀河全体が協力することになったのは素晴らしいことだが、全ての惑星が協調し続けるのは簡単なことじゃないだろうな」
宗介も同じ思いだったが、浅倉に向けて微笑みながら答えた。
「そうだな。だけど、今度の戦いで一つの真実が分かった。銀河全体が力を合わせれば、どんな脅威にも立ち向かえる。協調することが平和への最善の道だと皆が気づいたはずだ」
その時、船の通信機が突然作動し、地球防衛軍本部からの緊急連絡が入った。未知のエネルギーが、銀河の遥か外側から銀河内に向かって接近しているという報告だった。規模や性質はまだ完全には分かっていないが、銀河全体の警戒が必要であるということだった。
「また新たな脅威か……」
宗介と浅倉はその知らせに驚きつつも、即座にそのエネルギーの発生源を追跡する準備を始めた。だが、今回の脅威がどのような性質のものであるかを知る手がかりはまだ少なく、銀河中の科学者や探査部隊がその調査に動員された。
翌日、銀河協調プログラムの一環として、地球防衛軍に所属するエリートの科学者やエンジニアたちが、宗介と浅倉の探査に協力するために集まった。その中には、かつて銀河秩序評議会で活躍していた科学者も含まれており、彼らは最新の技術を駆使して未知のエネルギーの正体を解明しようとしていた。
調査を進める中で、一人の科学者が不安げな表情で報告を上げた。
「このエネルギー……どうやら単なる自然現象ではないようです。何かしらの人工的な意図が感じられる。さらに、エクスティンクターと同じような波長を含んでいます」
その言葉に宗介と浅倉は顔を見合わせた。エクスティンクターの影響がまだ残っているとすれば、銀河は再び大きな危機に直面する可能性がある。
「つまり、エクスティンクターが何らかの形でこのエネルギーを発生させている可能性があるってことか?」
浅倉が疑問を投げかけると、科学者は頷いた。
「その可能性は高いです。エクスティンクターが残した技術が何者かに利用され、再び銀河に脅威をもたらそうとしているのかもしれません」
その推測が確かならば、銀河全体を再び結束させ、エクスティンクターに対抗する準備が急務となる。宗介はその場で決意を固め、銀河中に連絡網を広げ、協力して対策を講じることを提案した。
「エクスティンクターの力がどこかで利用されているのなら、それを止めるのは僕たちの役目です。銀河全体の知恵と力を集めて、もう一度協力してこの危機を乗り越えましょう」
その後、銀河中の惑星から支援の申し出が次々と届き、科学者やエンジニア、兵士たちが協力し合い、エクスティンクターの技術の脅威に立ち向かうための準備が急ピッチで進められた。銀河協調プログラムの下、彼らは未知のエネルギーを封じる新たなシステムや防衛装置を開発し、銀河全体を守るための新たな戦力を整えた。
そして、宗介と浅倉を先頭に、銀河全体が再び協力して脅威に立ち向かうための準備が整った。銀河中の星々の力が結集し、新たな脅威に対する希望の種が芽吹き始めていた。
「浅倉、この戦いを乗り越えれば、本当の平和が手に入るかもしれない」
宗介の言葉に、浅倉も力強く頷いた。
「そうだな。俺たちが共にいる限り、銀河はどんな暗闇にも負けない。行こう、宗介。この銀河を守るために」
星々の輝きに包まれながら、二人は未来への希望と決意を胸に抱き、次なる試練に立ち向かう覚悟を固めた。
銀河を守るための戦いは、まだ続いていく。希望の種が芽吹く限り、彼らの冒険は未来へと続いていく――
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