第13話 博士の新たなる陰謀

一度は怪獣を撃退したものの、宗介は勝利の余韻に浸る間もなく、心に重くのしかかる不安を抱えていた。「博士」が操る怪獣は、確実に進化し、知能を持ち始めている。この勝利は、ただの一時的なものに過ぎないのかもしれない。基地に戻り、整備班がロボットの修理を進める間、宗介は深く考え込んでいた。


そんな宗介の元に、指揮官がやってきた。彼の表情は硬く、何か重大な知らせがあることが窺えた。


「宗介、少し話がある。会議室へ来てくれ」


宗介は頷き、指揮官の後に続いて会議室へ向かった。そこには、すでに浅倉や他の主要メンバーが集まっており、スクリーンには一連の戦闘データと共に、複数の分析結果が表示されていた。


指揮官は重々しい表情で、プロジェクターの前に立ち、話し始めた。


「今回の戦闘で怪獣の進化が確認されたが、我々はさらなる脅威が迫っている可能性を検討している」


指揮官は、スクリーンに映し出されたデータを指し示しながら、続けた。最新のデータによると、地球周辺の宇宙空間に奇妙なエネルギーの集中が見られるのだという。どうやら「博士」はさらなる怪獣を送り込む準備をしているらしい。


「博士の次の一手を阻止するため、我々は直接彼の拠点に打撃を与える必要がある」


その言葉に、宗介と仲間たちは驚きを隠せなかった。これまで防戦一方だったが、ついに地球側から攻める作戦が提案されたのだ。


「だが、博士の拠点は地球の外、つまり宇宙空間にあると推測されている。我々はそのために特別な宇宙用装備と新しい機体を準備した」


指揮官がスクリーンに新型のロボットの映像を映し出す。これまでのスコティッシュフォールド型ロボットをさらに強化し、宇宙空間での戦闘に適応させた最新鋭のモデルだ。外部装甲は、宇宙の過酷な環境に耐えられるように強化され、さらに遠隔操作による追加武装が施されている。


「この機体を用いて、君たちに博士の拠点に潜入してもらう。目的は博士の指揮システムを破壊し、怪獣を制御する能力を奪うことだ」


宗介はその計画の重さを感じながらも、迷わず手を挙げた。


「僕が行きます。この手で博士の計画を止めたい」


浅倉も続いて挙手し、力強く頷いた。


「俺も一緒に行く。今度は攻める番だ」


こうして、宗介と浅倉を中心とした少数精鋭の部隊が、博士の拠点に直接攻撃を仕掛けるという作戦が決まった。新型機体の準備が整い、数日後には出発が予定されていた。


出発当日、宇宙船に搭載された新型ロボットに乗り込んだ宗介は、改めて戦いの意味をかみしめていた。自分たちが地球を守るために、そして、怪獣の脅威から未来を取り戻すために、この任務を遂行しなければならない。


宇宙船が発進し、彼らは博士の拠点へと向かって行った。窓から見える無限の宇宙空間に、宗介は何とも言えない緊張と覚悟を感じていた。敵地への突入が近づく中で、彼は自分に何度も言い聞かせた。


「俺たちがやらなければ、地球に未来はないんだ……」


やがて、宇宙船は博士の拠点が位置する座標に到着した。そこには、不気味な黒い影が宇宙空間に浮かんでいた。人工的な構造物が複雑に組み合わさり、怪獣を生み出す工場のような外観を持っている。


「ついにここまで来たか……」


浅倉も息を呑んでその光景を見つめていた。彼らは指揮官からの最終指示を受け、いよいよ突入の準備を整えた。


「全機、出撃準備完了!行くぞ!」


宗介が号令をかけ、部隊が一斉に博士の拠点へと突入していく。新型ロボットは宇宙空間での機動力に優れており、滑らかに敵の防衛システムを回避しながら、拠点内部に侵入していく。


内部には、自動防衛システムが待ち構えていた。無数のドローンや砲台が宗介たちを迎え撃ち、次々と攻撃を仕掛けてくる。宗介は新型ロボットの機動力を駆使し、これらの攻撃をかわしながら進んでいく。


「浅倉、左から来るドローンを叩いてくれ!」


「了解、宗介!」


二人は息の合った連携で敵の防衛システムを突破し、徐々に拠点の中心部へと近づいていく。しかし、奥に進むにつれて敵の攻撃は激しさを増し、進行が困難になっていった。


その時、通信機から再びあの不気味な声が聞こえてきた。


「ようこそ、地球人たちよ……私の領域へ」


博士の冷たい声が響き渡り、宗介たちは一瞬身を強張らせた。彼はここまでの戦いを全て見ていたのだろうか。宗介は怒りを覚えながら、博士に問いかけた。


「博士、なぜこんなことをする?地球を破壊して、一体何を得ようというんだ!」


しかし、博士の声はどこか楽しげだった。


「地球は、私の手によって新たな進化を遂げるための実験台に過ぎないのだよ。君たちがどう抗おうと、怪獣たちは更なる進化を重ね、地球を新たな領域へと導く。君たちはその小さな努力で何が変えられると思っているのかね?」


その言葉に、宗介は拳を握りしめた。自分たちの努力を嘲笑うかのような博士の態度に、怒りが沸き上がる。


「俺たちは決してお前の計画を許さない。地球は俺たちの手で守る!」


宗介の叫びが宇宙船内に響き渡る。そして彼は、博士の居場所があると推測されるエリアへ向かってロボットを全速力で進めた。


しかし、その時、巨大な怪獣が目の前に現れた。それは博士が送り込む怪獣の中でも最大級のもので、まるでこの拠点を守護するかのように立ちはだかっていた。


「ここまで来て……こんな奴が……!」


浅倉も驚きを隠せない。しかし、引き下がるわけにはいかない。地球を守るためには、この怪獣を倒し、博士の元に辿り着かなければならないのだ。


「行くぞ、浅倉!これを乗り越えて、必ず博士を倒すんだ!」


二人は最後の力を振り絞り、怪獣との戦いに挑んだ。怪獣は鋭い爪と強力なエネルギービームを放ち、彼らを押し返そうとする。しかし、宗介と浅倉は息の合った攻撃で怪獣にダメージを与え続けた。


戦いは激しさを増し、ついに怪獣が怯む瞬間が訪れた。その隙を見逃さず、宗介は全力でエネルギーキャノンを発射し、怪獣の弱点を狙い撃った。


「終わりだ!」


激しい閃光と共に、怪獣が崩れ落ちる。そして、彼らの前には博士の拠点の最深部への扉が開かれていた。


「よし……博士の元へ行こう」


次回、ついに博士との対決が始まる。果たして宗介と仲間たちは、地球を守るために博士の野望を打ち砕くことができるのか?

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