第14話 博士との対峙
怪獣を撃破し、拠点の最深部へと続く扉が開かれる。宗介と浅倉は慎重にその中へと足を踏み入れた。内部は異様なほど静かで、外部の戦闘音が嘘のように感じられた。薄暗い照明に照らされた廊下を進んでいくと、やがて巨大なホールに出た。その中心には、一人の男が静かに立っていた。
「待っていたよ、宗介。君たちがここまで辿り着くのをね」
その男は冷たい微笑みを浮かべ、宗介と浅倉を見下すような視線を向けた。彼が「博士」だと直感的に分かった。白い衣装に包まれたその姿はどこか不気味で、まるで人間離れした冷徹な雰囲気を纏っている。
「博士……お前がすべての黒幕か」
宗介は怒りを押さえつつ、博士に鋭い視線を向けた。彼の計画がどれだけ地球に悲劇をもたらしたかを考えると、怒りが胸の奥で沸騰するようだった。
博士は冷静に微笑みながら、宗介の視線を受け止めた。
「そうとも。私が怪獣たちを操り、地球を新たな段階へと進化させるために実験をしている。君たちの苦闘も、すべて計画の一部に過ぎない」
その言葉に、浅倉が一歩前に出て叫んだ。
「ふざけるな!地球はお前の実験場じゃない!勝手に俺たちの星を弄ぶな!」
博士はその叫びを楽しむかのように、わずかに首を傾げた。
「地球はもはや君たち人類のものではない。進化が求められているのだよ、もっと合理的で、もっと強大な存在にね」
その時、ホールの周囲に備えられていた装置が動き始め、エネルギーが博士の体を包み込んだ。周囲の壁や床が脈動し、まるで博士とこの施設全体が一体化しているかのように見える。
「君たちがここまで来たのは評価しよう。だが、ここで君たちは終わりだ」
博士は手をかざすと、巨大な機械が床からせり上がり、まるで彼自身が操るかのように動き出した。それは強大なエネルギーを放つ兵器で、宗介たちに向かって狙いを定めた。
「浅倉、避けろ!」
宗介は浅倉と共に咄嗟に身を伏せ、放たれたエネルギーの一撃を回避した。博士は楽しむように笑いながら、さらに攻撃を続けてくる。
「逃げることはできないよ、宗介。君たちはここで消え去る運命だ」
宗介は攻撃を回避しながら、博士に対する怒りをさらに燃え上がらせていた。だが、正面から攻撃を仕掛けるのは危険すぎると判断し、隙を見て慎重に距離を詰めることにした。
「浅倉、俺が奴の気を引く。その間に周囲のエネルギー装置を破壊してくれ!」
浅倉は頷き、すぐに行動を開始した。博士の拠点のエネルギー源を断てば、博士の力を弱められるかもしれない。宗介は新型ロボットの機動力を駆使し、博士の周囲を素早く移動しながら牽制攻撃を仕掛けた。
「どうだ、博士。俺たちの力を甘く見るな!」
博士は冷静に宗介の挑発に応じ、まるで興味を持っているかのように彼の動きを観察していた。
「なるほど。だが、その程度の戦法で私に勝てると思っているのかね?」
しかし、その時だった。浅倉が博士の背後にあるエネルギー装置を破壊し、爆発がホール内に響き渡った。博士の体を覆っていたエネルギーの輝きが一瞬弱まる。
「よし、効いている!」
宗介はその隙を逃さず、エネルギーキャノンを博士に向けて発射した。エネルギーの束が博士に命中し、彼の体がわずかに揺らいだ。博士は驚愕の表情を浮かべながら、宗介と浅倉を見つめた。
「君たち、そこまで力を……!」
博士の声には初めて、わずかな焦りが感じられた。それを見た宗介は、一気に攻勢を強める決意を固めた。
「これで終わりだ、博士!」
宗介と浅倉は二人で連携し、博士に次々と攻撃を加えていく。博士の防御力は高いが、エネルギー装置が破壊されたことで彼の力は徐々に弱まっていく。博士の冷静さは崩れ、ついにその姿が揺らぎ始めた。
「どうしてだ……どうして、私の計画が……」
博士の声が弱まり、彼の体からエネルギーが徐々に失われていく。宗介は最後の一撃を見舞うため、機体のエネルギーを最大限に集め、博士に向けて突撃した。
「これが……お前の終わりだ!」
宗介の機体が博士に激突し、強力なエネルギーが博士を包み込んだ。爆発音がホールに響き渡り、博士の姿はエネルギーの閃光に消え去った。
静寂が訪れ、ホールには宗介と浅倉だけが立っていた。博士の存在は完全に消え去り、その拠点もまた崩壊を始めていた。
「終わったのか……」
浅倉は宗介の肩を叩き、疲れ切った表情で微笑んだ。
「お前、よくやったな」
宗介もまた浅倉に微笑みを返し、互いの手を固く握り合った。この長い戦いが、ようやく終わったのだ。博士の計画は阻止され、怪獣による脅威も消え去った。彼らは勝利を手にし、地球を守ることができたのだ。
だが、彼らにはまだ任務が残っていた。崩壊する拠点から無事に脱出し、地球に帰還することができるのか。そして、彼らが守り抜いた未来には何が待っているのか――。
次回予告:
博士の拠点から脱出を試みる宗介たち。崩壊する施設内で、最後の試練が待ち受ける。果たして無事に地球へ帰還し、新たな平和を迎えることができるのか?
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