第11話 新たなる局面

宇宙船は地球へと急ぎ帰還し、その中で宗介は「博士」の言葉が頭から離れなかった。地球が実験の場にされている──その冷酷な現実を突きつけられたことで、これまで以上に戦う意志が強まった。しかし、同時に彼の心には、どうやってこの強大な敵に立ち向かえばいいのかという不安も渦巻いていた。


「私の計画を止めるというのなら……待っているぞ、地球人よ」


その言葉は挑発のようであり、宣戦布告のようでもあった。宗介は、あの「博士」と名乗る者の計画を止めるためには、これまで以上に強くならなければならないと感じた。


宇宙船が地球の大気圏に突入し、間もなく基地へと着陸した。防衛軍の司令部は、宗介たちの持ち帰った情報に目を見張った。怪獣が外部からの指令で動かされている証拠、そして「博士」という存在の存在証明。すぐに緊急会議が開かれ、地球防衛軍の全員が集まった。


「今回の情報は非常に重大だ。この“博士”という存在が怪獣を操り、地球を攻撃していることが明確になった。彼の目的はまだ不明だが、我々はこれを阻止するために全力を尽くさねばならない」


指揮官が会議室に響き渡るような声で告げると、部屋は緊張感に包まれた。これまでの戦いがただの防衛戦に過ぎなかったことが、今や明らかになったのだ。敵は計画的で、知性を持っており、何らかの目的を持って怪獣を送り込んでいる。


「私たちの最優先事項は、この“博士”を見つけ出し、彼の計画を止めることです。そのために、我々はさらに戦力を強化しなければならない」


司令部では、怪獣の回復力を封じるために使用した抑制フィールド装置の改良が急ピッチで進められていた。また、スコティッシュフォールド型ロボットの装甲や武器システムにもアップデートが加えられ、次なる戦いに備えての準備が進んでいた。


その中で、宗介は自らのロボットが整備されるのを見つめていた。自分が戦うための力、そして怪獣を止めるための道具。それを使いこなすことができるかどうかは、自分自身の覚悟次第だと感じていた。


「お前、あの“博士”ってやつと話をしたのか?」


浅倉が声をかけてきた。彼の顔には心配そうな表情が浮かんでいたが、その目は相変わらず鋭かった。宗介は少し迷いながらも、頷いて答えた。


「ああ……自分たちがただの戦闘兵器じゃなく、誰かの実験材料として使われているみたいで、正直ショックだった。でも、それが事実なら、俺たちはそれを打ち破らなければならない」


宗介の言葉には決意がこもっていた。彼の中で恐れもあったが、それ以上に戦う意志が強く燃え上がっていた。それに応えるように、浅倉もまた笑みを浮かべた。


「まあ、俺たちがこれまで戦ってきたのは変わらないさ。敵がどんな奴であれ、俺たちが叩き潰す。それだけだろう?」


浅倉のシンプルな言葉に、宗介は少しだけ肩の力が抜けた。戦いの先に何が待っているのかはわからないが、今は目の前の敵を倒すことだけを考える。それが自分たちにできる唯一のことだ。


その時、指揮官からの緊急連絡が入った。全員にすぐさまブリーフィングルームに集まるようにとの指示だった。宗介と浅倉は急いでその場に向かう。


「皆、耳を傾けてくれ」


指揮官が集まったメンバーを見渡し、重々しい口調で話し始めた。


「我々は、博士の発信源が再び活動を開始したことを確認した。今回の信号は、これまでにない強いものだ。そして、敵が新たに怪獣を送り込む準備をしているのも間違いない」


宗介はその言葉に目を見開いた。また新たな怪獣が送り込まれる。しかも、今度はこれまでとは違う、より強力な怪獣が待ち受けているに違いない。


「今回の怪獣は、従来のモデルをさらに進化させたものだ。単純な力や回復能力を超えて、知能が向上しているというデータが得られている。まるで、戦術的に動くような行動を示しているのだ」


その言葉に、宗介たちパイロットは息を呑んだ。これまでは単純に暴れ回るだけだった怪獣が、戦術的に動くようになれば、戦いはさらに困難を極めるだろう。しかも、そんな怪獣が指揮されているとなれば、これまで以上に厄介だ。


「次の戦いに備えて、我々は防衛線を強化する。だが、その前に、宗介、お前に新たな任務を与える」


指揮官は宗介に視線を向け、彼が驚きとともに身構えるのを見つめていた。


「抑制フィールド装置の改良版を、実戦でテストしてほしい。今回の改良により、怪獣の能力をさらに一時的に無効化することが可能になった。だが、実際に使うにはリスクも伴う。お前に任せたい」


宗介はその申し出に少しだけ戸惑ったが、すぐに深く頷いた。自分の役割が増えることで、戦いがより困難になるかもしれないが、それでもやらなければならない。


「わかりました。僕が引き受けます」


その言葉に、指揮官は満足げに頷き、作戦の詳細を説明し始めた。怪獣の攻撃を受けつつも、改良版の装置を使って能力を封じ込めるという作戦は、極めて危険な賭けだった。だが、これが成功すれば、地球防衛において大きな前進となる。


「この戦いが鍵になるだろう。皆、力を合わせて、勝利を手に入れよう」


宗介は改良版の抑制フィールド装置が取り付けられた機体を見つめ、これまで以上に強く拳を握りしめた。どんなに強大な敵が現れても、今度こそ、彼は恐れずに立ち向かう覚悟だった。


「これで終わらせる……必ず」


心の中でそう誓い、宗介は次の戦いに向けた準備を進める。そして、仲間たちと共に最後の決戦に挑む覚悟を固めた。


次回予告:


次なる戦いに向けた準備が進む中、宗介たちはこれまでにない強力な怪獣と対峙することになる。新たな抑制フィールド装置が果たして効果を発揮するのか?地球の運命をかけた戦いが今、幕を開ける。

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