第10話 謎の影
怪獣との戦いを終え、宗介と仲間たちはようやく一息つくことができた。抑制フィールド装置の活躍により、怪獣の自己回復能力を封じ込めることができたことは大きな収穫だった。だが、戦いが終わった瞬間から宗介の胸には新たな疑念が渦巻いていた。
「どうして怪獣たちは次々と進化して、これほどの力を持つようになっているんだ……」
その疑問が頭から離れない。怪獣は単に地球を破壊するだけではなく、どこか組織的に行動し、対人類用に進化しているようにさえ見える。宗介はその考えを抱きながら、仲間たちと共に基地へ戻る途中だった。
基地に到着すると、指揮官が宗介たちをブリーフィングルームに招集した。緊張感の漂う部屋には、戦闘中に得た新たなデータが並べられていた。指揮官は彼らに重要な情報を告げるため、厳しい表情で口を開いた。
「今回の戦闘に関するデータを解析した結果、怪獣には何者かによる外部の干渉が加えられている可能性が浮上した」
指揮官の言葉に、部屋の中がざわめいた。宗介もその意味を理解するまでに一瞬の間が必要だったが、言葉の重さを感じ取っていた。
「外部の干渉……それってつまり、誰かが怪獣を操作しているってことですか?」
浅倉が声を上げ、指揮官に確認を求めた。指揮官はゆっくりと頷きながら続けた。
「その通りだ。怪獣の動きや進化の速度があまりにも不自然であり、何かしらの知性が関わっていると考えざるを得ない」
宗介はその言葉に驚愕した。もし本当に誰かが怪獣を操作しているとすれば、その者の目的は一体何なのか。そして、どうして怪獣を使って地球を攻撃しているのか。
「さらに我々は、怪獣が出現する際に宇宙から発せられる信号を確認した。それは通常の通信波と異なるが、明確に発信源が存在する。今からその調査に向かう部隊を編成する」
指揮官はスクリーンに映し出された信号の軌跡を示しながら、目を細めた。その発信源は宇宙の彼方にあり、地球からは計り知れない距離に位置している。
「この信号を発している場所に行けば、怪獣を操る存在について何かしらの手がかりが掴めるかもしれない。もしくは、この侵略の背後にいる者を見つけられるだろう」
宗介はその話に聞き入っていたが、同時に内なる恐怖も感じていた。もしその存在が圧倒的な力を持っていれば、彼らが勝てる見込みはあるのだろうか。
「宗介、お前にはその調査任務に同行してもらうことになる」
指揮官の言葉に、宗介は驚きつつも、その決定を真摯に受け止めた。未知の敵に立ち向かう任務は危険が伴うが、怪獣の正体を暴き、地球を守るためには必要なことだ。
「わかりました。僕がその任務に就きます」
宗介の決意が固まった瞬間だった。彼は自らの手でこの戦争の原因を突き止め、終わらせるために前進する覚悟を決めた。
数日後、宗介は選ばれた少数精鋭のチームと共に、発信源の調査に向けて出発した。特別に用意された宇宙船に乗り込み、彼らは怪獣の出現に関する謎を追うため、地球を離れることになった。
宇宙船の中で、宗介はコックピットから広がる無限の宇宙を眺めていた。その静寂の中で、彼の心にはかすかな不安と、謎の存在への好奇心が交錯していた。
「怪獣を操っているのは、何者なんだ……?」
そう呟くと、遠くに見える発信源の座標に思いを馳せた。仲間たちも緊張を隠せない様子だったが、全員が宗介と同じく、この調査任務に強い使命感を抱いていた。
数時間後、宇宙船は目的地付近に到達した。そこには小さな衛星のような物体が浮かんでいた。まるで誰かが人為的に設置したかのようなその物体は、発信源の座標と一致していた。
「ここが……発信源か」
宗介と仲間たちは慎重に宇宙船を接近させ、衛星にアクセスを試みた。機器を使って通信波を解析すると、そのデータには明確な情報が記録されていた。
「これは……!?」
解析が進むにつれ、宗介たちは驚愕した。衛星から送られてきたデータには、怪獣の設計図や進化の段階に関する情報が細かく記載されていた。それは、まるで何者かが意図的に怪獣を育成し、指揮している証拠のように見えた。
「この怪獣は人工的に作られている……?」
仲間の一人が呟いた言葉に、宗介の中で様々な疑念が広がっていった。地球を襲う怪獣はただの偶然ではなく、誰かが目的を持って送り込んでいる存在だったのだ。
「地球に戻ってこのデータを伝えなければ」
宗介は仲間たちと共に宇宙船へと戻り、すぐに地球への帰還準備を整えた。しかし、その時だった。突如として通信機から謎の声が響き渡った。
「私の計画に気づいたか……地球人よ」
その声は低く、どこか冷たい響きを持っていた。宗介は驚きつつも、すぐにその声の発信源を探ろうと試みたが、何も映像やデータは表示されなかった。まるで、どこからともなく響いているような不気味な声だった。
「お前は誰だ!?どうして怪獣を送り込んでいるんだ!」
宗介が叫んでも、その声はただ冷たく笑うだけだった。
「私の名は……そうだな、地球人には“博士”とでも名乗っておこうか。お前たちの星は、私の実験の場に過ぎない。すべては計画通りだ」
その言葉に、宗介は背筋が凍るのを感じた。自分たちの星が、博士と名乗る存在の手の中で、ただの「実験」に使われていることに愕然とした。
「私の怪獣たちはまだ序章に過ぎない。だが、お前が私の計画を止めるというのなら……待っているぞ、地球人よ」
通信は途絶え、宇宙船内には再び静寂が戻った。宗介はその場に立ち尽くし、仲間たちもその言葉の重みに圧倒されていた。彼らの前には、まだ多くの謎が残されている。
「……地球に戻ろう。そして、この情報を皆に伝えなければ」
宗介は仲間たちに声をかけ、決意を新たにした。これからの戦いは、今まで以上に熾烈なものになるだろう。しかし、地球を守るためには、彼はこの「博士」と名乗る存在に立ち向かわなければならない。
次回予告:
地球に戻った宗介は、怪獣を操る「博士」の存在を防衛軍に報告する。戦いは新たな局面を迎え、スコティッシュフォールド型ロボットにもさらなる改良が加えられる。果たして宗介は、博士の計画を止めることができるのか?
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