第8話 新たな戦術
激しい警告音が宗介のコックピット内に響き渡る。スコティッシュフォールド型ロボットは電磁波の影響を受け、まるで自分の体が麻痺したかのように思うように動かない。目の前では怪獣が巨大な触手を振り回し、都市を破壊している。建物が次々と崩れ落ち、絶望感が宗介を包み込もうとしていた。
「このままじゃ、また何もできずに終わるのか……!」
宗介は必死に操縦桿を握り直し、なんとか機体を動かそうとするが、電磁波の影響でシステムが制御不能の状態だ。前回の戦いとは違う圧倒的な脅威を前にして、彼は焦りと恐怖に包まれていた。
「宗介、大丈夫か!?」
浅倉の声が通信機から響く。彼の機体も電磁波に苦しんでいたが、なんとか動きを保っているようだった。宗介は一瞬だけ浅倉の機体が視界に映り、仲間の存在がわずかながらの安堵を与えた。
「浅倉……こいつ、電磁波でロボットの制御が……」
「分かってる。だが、方法はあるはずだ!」
浅倉の声にはまだ戦意が感じられた。諦めていない。その言葉が宗介を奮い立たせた。まだ、諦めるには早い。怪獣の動きを封じる方法を見つけなければならない。
宗介は必死に考えた。怪獣が発する電磁波が、スコティッシュフォールド型ロボットの電子機器に干渉している。それを防ぐには、何かしらのシールドやエネルギーコントロールが必要だ。だが、すぐにそれを実装する時間はない。
「機体の電子機器を一時的に遮断して、手動で操作できれば……」
宗介は思い切って、機体の一部システムをオフラインにする決断をした。シミュレーターでの訓練中に学んだテクニックだが、実戦で使うのは初めてだ。これにより電磁波の影響を一部遮断し、手動操作で機体を動かせるようにする作戦だ。
「これで……動けるはずだ!」
宗介は操作パネルを叩き、ロボットの主要システムをオフに切り替えた。エネルギー供給が一時的に停止し、コックピット内のライトが暗くなる。そして、その瞬間、電磁波の干渉が消え、機体が静かに動き始めた。
「よし、これなら……!」
宗介は息を整え、手動操作でロボットを動かし始めた。機体が滑らかに動き出し、怪獣に接近していく。電磁波の影響を避けるため、スコティッシュフォールド型ロボットはあえて低出力で動き、怪獣に気づかれないように慎重に接近していく。
「宗介、どうしてる?」
浅倉の声が再び通信機に響く。彼も怪獣との距離を保ちながら攻撃の機会をうかがっていた。宗介はその声に自信を取り戻し、作戦を伝える。
「手動操作で電磁波を回避してる。システムを最低限にして、怪獣に接近する。俺が近づいて、弱点を狙うから、援護を頼む!」
「なるほど。了解だ!こちらで陽動を引き受ける!」
浅倉はすぐに応じ、怪獣の前に出て注意を引くような動きを始めた。彼の機体がエネルギーキャノンを放ち、怪獣の側面に命中する。怪獣は浅倉に気を取られ、触手を振り回しながら彼を攻撃しようとする。
「今だ……!」
宗介はその隙をつき、怪獣の背後に一気に飛び込んだ。前回の怪獣と同じく、背中の装甲の一部に弱点があるはずだ。宗介はコックピット内のスクリーンに表示された映像を確認し、背中の裂け目を発見した。
「ここだ……!」
宗介は素早くエネルギーキャノンを展開し、怪獣の背中に照準を合わせた。手動操作のままでは精度が不安定だが、ここで決めなければならない。
「撃つ!」
宗介は力を込めて引き金を引いた。エネルギーキャノンから発射された光線が、怪獣の背中に直撃する。怪獣は再び咆哮を上げ、その巨体を揺らす。
「効いてる……!」
怪獣はしばらくの間、よろめきながらその場に立ち尽くしていたが、やがてその巨体がゆっくりと崩れ始めた。怪獣の倒れ込む音が街全体に響き渡り、宗介はようやく肩の力を抜いた。
「やった……!」
彼は安堵の息をつき、コックピット内で体を預けるように座り込んだ。手動操作での戦闘は予想以上に体力を消耗したが、結果として怪獣を倒すことができた。
「宗介、見事だ!」
浅倉の声が再び響いた。彼も無事に怪獣から距離を取り、戦闘を終えたようだ。宗介は仲間の声に応え、笑みを浮かべた。
「ありがとう、浅倉。お前の援護がなかったら、無理だった」
だが、戦いはこれで終わりではない。宗介は自分がまだ生き延びたばかりであることを感じつつも、今後の戦いがさらに厳しくなることを予感していた。怪獣は次々と進化し、地球を脅かし続ける。それに立ち向かうためには、自分もさらに強くなる必要がある。
「まだ、終わりじゃない……これからだ」
宗介は再びコックピットを立ち上がり、次の戦いに備えるための準備を始めた。彼の中に新たな決意が芽生えた。どんな敵が現れようとも、今度は恐れずに戦い続ける。
次回予告:
次なる怪獣の脅威が再び迫る。宗介たちは新たな戦術を試みるが、今度の敵はさらに強大。果たして彼らはこの試練に打ち勝つことができるのか――。
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