第7話 次なる脅威
基地に戻るスコティッシュフォールド型ロボットがゆっくりと着陸した。機体は損傷が目立ち、煙を上げながらもなんとか帰還を果たした。宗介はヘルメットを外し、額の汗をぬぐった。初めての実戦を終えた彼の体は疲労に包まれていたが、心にはわずかな達成感が残っていた。
「何とかやり遂げた……」
コックピットを開き、地上へ降りた宗介を迎えたのは、整備班のスタッフたちだった。彼らはすぐに機体の損傷具合をチェックし、急ピッチで修理に取りかかっている。
「お疲れさん、宗介。お前の活躍で市街地は守られたぞ」
浅倉が声をかけてきた。彼もまた戦闘を終え、ロボットから降りてきたばかりだったが、その顔には達成感が見える。宗介は浅倉に向かって微笑みを返す。
「まだ、少し実感が湧かないよ……でも、倒せたんだな」
宗介は自分があの巨大な怪獣を倒したことが信じられなかった。ほんの数時間前までは、恐怖と不安に苛まれていたのに、今はそれを乗り越えた自分がいる。
「次の戦闘もすぐだぞ。今のうちに休んでおけ」
浅倉は軽く笑いながら宗介の肩を叩いたが、その表情はどこか緊張を含んでいた。怪獣との戦いは終わったわけではない。むしろ、これは序章に過ぎなかったのだ。
宗介は基地内の休息室へ向かうと、ベッドに横になり目を閉じた。頭の中にはまだ、戦闘の記憶が鮮明に残っていた。だが、眠りに落ちる前に、突然、アラームが再び鳴り響いた。
「緊急事態発生!新たな怪獣の出現を確認!全パイロット、すぐに出動せよ!」
宗介は目を見開き、急いで立ち上がった。休む間もなく、次なる脅威が現れたのだ。まだ完全に疲れが取れていない体を引きずりながら、彼は出撃準備に向かった。
「こんなに早く……また怪獣が……」
浅倉もまた急いで出撃準備を進めていた。彼は宗介の隣に来ると、すぐに状況を伝えた。
「今度の怪獣は前のものよりもはるかに巨大だ。そして、特殊な能力を持っているらしい。防衛軍の報告では、破壊力も速度も前例がないほど強力だと」
宗介はその言葉に不安を感じた。前回の怪獣でさえ手強かったのに、それ以上の敵が現れたとなると、勝つための道筋が見えない。
「大丈夫だ。俺たちがいる限り、怪獣には負けない。お前もさっきの戦いでやれることを証明しただろう?」
浅倉の励ましに、宗介は少しだけ勇気を取り戻した。今は恐れるよりも、戦う意志を持つことが必要だ。
「そうだな……やるしかない」
宗介は決意を新たにし、スコティッシュフォールド型ロボットのコックピットに再び乗り込んだ。外部の整備班が急いで修理を終えたおかげで、機体はすぐに出撃可能な状態に戻っていた。
「よし、出撃シークエンス開始!」
宗介は目を閉じ、集中して機体と一体化する感覚を取り戻した。再びモニターに映し出される街の景色が広がり、彼の操縦によってロボットが浮上する。浅倉のロボットもすぐ隣に並び、二人は共に新たな怪獣の元へ向かった。
到着した市街地は、前回の戦闘の痕跡がまだ残っている場所だった。しかし、すでに新たな怪獣がその場所に降り立ち、破壊の限りを尽くしていた。
「なんだ、あれは……」
宗介の目に映ったのは、以前の怪獣とは明らかに異なる存在だった。体長はさらに巨大で、その表面は奇妙な光を放つ鎧のような硬い外殻に覆われている。そして、その背中からは無数の触手のようなものが伸び、街を薙ぎ倒していた。
「防衛軍の分析によれば、この怪獣は強力な電磁波を発生させる能力を持っている。ロボットの電子機器にも悪影響を及ぼす可能性がある。気をつけろ!」
浅倉の警告が飛び込んでくる。宗介は冷や汗を感じながら、距離を保って怪獣の動きを観察した。これまでの怪獣とは明らかに違う、未知の脅威が目の前に広がっている。
「こいつ……手強そうだな」
宗介は深呼吸し、冷静に状況を分析する。攻撃するべきタイミングを探りながら、怪獣の動きに合わせて機体を操作した。しかし、次の瞬間、怪獣の背中から発生した光が一気に広がり、強烈な電磁波が周囲に放たれた。
「何だ……!?」
モニターに異常が表示され、機体のシステムが一時的に麻痺する。宗介は驚き、必死に制御を試みるが、コックピットの中は異常な音が鳴り響いていた。
「機体が……動かない!?」
怪獣の特殊能力により、ロボットの電子機器が影響を受けているのだ。宗介は焦りながらも、なんとか機体を回復させようと必死になった。
「くそ……なんとかしなきゃ……!」
目の前に迫る怪獣の攻撃を避ける時間がない。宗介は何とかして機体を動かそうとするが、電磁波の影響で思うように操作できない。次の瞬間、怪獣の巨大な触手が宗介のロボットに向かって襲いかかってきた。
「まずい……!」
宗介は全力でコントロールを操作し、なんとか機体を動かし始めたが、怪獣の攻撃を完全には避けきれず、ロボットが大きく揺れる。警告音が再び鳴り響き、機体の損傷が激しくなっていることを示していた。
「このままじゃ……!」
絶体絶命の危機が迫る中、宗介は自分に何ができるのか、必死に考えた。そして、その瞬間、あるアイデアが頭をよぎった。
「電磁波の影響を最小限に抑えるには……!」
次回、宗介は怪獣の特殊能力に対抗するため、新たな戦術を試みる。果たして彼の決断は功を奏するのか?
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