第6話 戦場の決断
怪獣の尾が振り回されるたびに、地面が揺れ、建物が崩れ落ちていく。宗介はその光景を目にしながら、必死に機体を操縦していた。巨大なスコティッシュフォールド型ロボットが再び起き上がり、戦場へと戻る。しかし、怪獣の圧倒的な力を前に、宗介はまだ恐怖を拭いきれずにいた。
「俺が……止めなきゃ……!」
コックピット内で響く警告音が、機体の損傷を伝えていた。宗介はその音を無視し、再び怪獣に立ち向かう決意を固める。街中を逃げ惑う人々が宗介の視界に映り、その光景が彼の心に重くのしかかっていた。戦わなければ、誰も助からない。
「これ以上、失うわけにはいかない……!」
宗介は操縦桿を握りしめ、全力で機体を加速させた。彼のスコティッシュフォールド型ロボットは柔軟な動きで、怪獣の背後に回り込む。周囲の防衛軍も怪獣を引きつけながら、なんとか攻撃を加えていたが、そのすべてが無効化されているようだった。
「怪獣の装甲が硬すぎる……どこを狙えばいいんだ……?」
宗介は焦りながらも、怪獣の弱点を探っていた。目の前のモニターに映る巨大な甲殻に覆われた怪獣の姿が、まるで鉄壁の要塞のように見えた。しかし、戦闘中にちらりと見えた、装甲の一部が損傷している箇所が頭に浮かんだ。
「そうだ、あそこだ……!」
宗介は以前の攻撃で損傷を与えた怪獣の背中の裂け目を狙うことにした。彼は息を整え、周囲の動きに集中した。怪獣が尾を振り上げた瞬間、宗介はコントロールを素早く操作し、機体を低く構える。
「今だ!」
宗介のスコティッシュフォールド型ロボットは瞬時に加速し、怪獣の背後に滑り込んだ。狙いを定め、両腕に装備されたエネルギーキャノンを最大出力で発射する。
「これで終わりだ……!」
強烈な光線が怪獣の背中に直撃し、その硬い甲殻を貫いた。怪獣は悲鳴のような咆哮を上げ、体を大きく揺らす。宗介はそのまま攻撃を続け、機体のエネルギーを限界まで使って怪獣の動きを封じ込めようとした。
「倒れてくれ……!」
怪獣はついに力尽きたかのように動きを止め、その巨体がゆっくりと崩れ落ちていった。地面に激突する音が響き渡り、周囲にいた人々はその場で立ち尽くした。
「やった……」
宗介はコックピットの中で息をついた。機体のモニターには、怪獣が完全に無力化されたことを示す表示が映し出されている。彼の心の中には、ついにやり遂げたという安堵感と、まだ続く戦いへの緊張が入り混じっていた。
「宗介!大丈夫か?」
通信越しに浅倉の声が聞こえた。彼もまた別の怪獣との戦いを終えたばかりのようで、息が荒い。しかし、その声には明らかな喜びが含まれていた。
「ああ、何とかやった……でも、まだ終わっていない」
宗介は疲れ果てたが、すぐに自分の状況を確認し直した。怪獣が倒れたことで一時的に戦闘は収まったが、これで完全に解決したわけではない。彼らの背後には、まだ怪獣軍団が控えているのだ。
「そうだな……だが、お前の活躍で一歩前進だ」
浅倉の言葉に、宗介は少しだけ微笑んだ。戦いは確かに始まったばかりだが、この一勝が人類の希望となるはずだ。
「基地に戻って、機体の整備を急げ。怪獣はまだ残っている。俺たちはすぐに再出撃だ」
宗介は浅倉の指示に従い、機体を操縦して基地へと戻る準備を始めた。初めての実戦を終えた彼は、少しずつ自分の力に自信を持ち始めていた。しかし、同時にその背後には大きな不安も残っていた。
「まだ、終わらない……」
そう呟く宗介の目には、さらなる戦いが見据えられていた。
次回予告:
戦いを終えた宗介たちに、さらなる巨大な怪獣が迫る。戦場の緊張が続く中、宗介は次の戦いに向けて準備を進めるが、敵の力は予想以上に強大だった。果たして、彼はこの試練を乗り越えることができるのか――。
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