第5話 初陣の恐怖
警報が鳴り響く中、宗介は緊張に包まれたまま、出撃の準備を進めていた。基地内は一気に慌ただしさを増し、パイロットたちが次々と自分のロボットに乗り込んでいく。宗介もまた、その一員となる日がついに来たのだ。
「宗介、準備はいいか?」
浅倉が声をかける。彼はすでに出撃準備を整え、機体のチェックを終えていた。宗介は緊張の中、浅倉の声に軽く頷いたが、その目は不安に揺れていた。
「初めての実戦か……正直、怖いよ」
宗介は正直に自分の気持ちを口にした。戦う意志はあっても、過去の失敗と目の前に迫る未知の恐怖が彼の心を揺さぶっていた。
「大丈夫だ。お前ならできる」
浅倉は笑みを浮かべ、肩を軽く叩いた。その言葉には確固たる信頼が感じられた。宗介は深く息を吸い込み、拳を握りしめた。
「そうだな……やるしかない」
彼は自らのスコティッシュフォールド型ロボットのコックピットに乗り込んだ。内部は複雑なコントロールパネルで覆われており、目の前に広がるのは自分の動きとロボットを連動させるシステムだ。シミュレーションで何度も練習したが、実戦は違う。全身が震えるのを抑えながら、宗介は操作パネルに手を伸ばした。
「出撃シークエンス、開始!」
機体が低く唸りを上げ、起動する。彼の視界に周囲の映像が投影され、まるで巨大な機体そのものが自分の体の一部になったかのような感覚に包まれた。スコティッシュフォールド型ロボットは、柔軟かつ精密な動きを特徴とするが、その分、操作は極めて繊細だ。
「宗介、まずは落ち着いて操作しろ。怪獣との距離を測りながら、慎重に進むんだ」
通信機越しに浅倉の声が響く。彼も同じく自分の機体で出撃準備を終え、宗介の隣を飛び立っていく。宗介は指示に従い、緊張しながらもゆっくりと前進を開始した。
街の上空に飛び出した瞬間、宗介の目に映ったのは、再び現れた巨大な怪獣だった。前回見た怪獣よりもさらに巨大で、体はゴツゴツした硬い甲殻に覆われ、尾を振り回して建物を破壊している。すでに市街地の多くが瓦礫と化していた。
「こんなに……でかいのか……」
宗介は一瞬、圧倒されて立ちすくんだ。しかし、その時、他のパイロットたちが次々と怪獣に向かって突撃を開始した。
「全機、攻撃を開始!」
指揮官の声が響き渡り、スコティッシュフォールド型ロボットの部隊が一斉に怪獣に向けて武器を発射する。光線やミサイルが怪獣の体を撃ち抜き、爆発が巻き起こる。だが、怪獣はまるで何も感じていないかのように突き進み、街をさらに破壊し続ける。
「くそ……あいつ、強すぎる……!」
宗介はコントロールレバーを握りしめ、攻撃に加わるべきかどうかを迷っていた。怪獣の圧倒的な力を前に、自分の攻撃がどれだけ効果があるのか、不安が募っていく。
「宗介、落ち着け。俺たちの役割は、怪獣の動きを止めることだ。力を合わせればできる!」
浅倉の声が通信越しに響く。宗介は息を整え、ようやく自分の決断を下す。
「やるしかない……!」
彼は操縦桿を引き、怪獣に向かって前進を開始した。スコティッシュフォールド型ロボットが一気に加速し、怪獣の側面に接近する。宗介は目の前のコントロールパネルを操作し、攻撃を準備した。
「怪獣の弱点はどこだ……?」
怪獣は大きな甲殻に覆われているが、動きが鈍い。宗介はその隙をついて、背中の装甲が割れている部分を狙い定めた。
「そこだ!」
彼は両腕のエネルギーキャノンを発射し、怪獣の背中に一撃を加えた。光の束が怪獣に命中し、その瞬間、怪獣の体が大きく揺れた。
「……効いた!」
宗介は胸の中に小さな希望を感じた。しかし、次の瞬間、怪獣が猛烈な咆哮を上げ、尾を振り回して反撃を始めた。宗介は回避しようとするが、その速度に追いつけず、機体が直撃を受けた。
「くっ……!」
スコティッシュフォールド型ロボットが大きく揺れ、宗介は体ごとコックピット内で振り回された。警告音が鳴り響き、画面には「機体損傷」のメッセージが点滅している。
「宗介、大丈夫か!?」
浅倉の声が通信越しに響くが、宗介は混乱していた。初めての実戦の中で、恐怖と混乱が彼を包み込み、次の一手を考える余裕すらなかった。
「くそ、どうすれば……!」
しかし、その時だった。宗介の目に、倒れたロボットの周囲で逃げ惑う人々が映った。怪獣の次の一撃が、彼らに迫っている。
「……守らなきゃ!」
宗介は咄嗟にコントロールを握り直し、再び操縦桿を引いた。スコティッシュフォールド型ロボットが再び立ち上がり、怪獣の動きを封じるために突進する。
「今度は逃げない……!」
宗介の覚悟が固まった瞬間だった。彼は機体のすべての力を解放し、怪獣に向かって突撃する。
次回、宗介は怪獣との激しい戦闘に挑む。彼の覚悟と決意は、果たして勝利をもたらすのか。それともさらなる試練が待っているのか――。
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