第2話 鉄の猫、動く

巨大なスコティッシュフォールド型ロボットは、圧倒的な存在感を放ちながら怪獣に向かって歩みを進めていた。そのフォルムは柔らかく丸みを帯びているが、その足取りは力強く、地面に衝撃を与えるほどの重さを感じさせた。猫のようなシルエットにもかかわらず、その巨大な鉄の塊は戦場での圧倒的な戦力となり得る存在だった。


宗介は背負った女性を安全な場所に下ろし、必死にロボットと怪獣の対峙を見守っていた。


「なんだ、あれ……?まるでネコ……」


周囲の人々もその光景に圧倒され、足を止めて見入っていた。巨大ロボットの目が怪獣を見据え、そのまま動きを止める。次の瞬間、ロボットの背部からエネルギーが放出され、低い唸り音が響いた。エネルギーが集中し、両前足に装備された武器が展開される。


怪獣はその光景を警戒するかのように低い唸りを上げ、ロボットに向かって突進した。何も考えずに破壊を目的としている怪獣と、冷静に動きを予測しながら武器を構えるロボット。戦闘が始まろうとしていた。


ロボットが鋭い動きで前足を振り、怪獣の顔に強烈な一撃を見舞う。その瞬間、怪獣の巨大な体が一瞬よろめき、まるで山が揺れるような感覚が地面に伝わってきた。宗介はその激しい戦いに目を離すことができなかった。


「す、すごい……!」


スコティッシュフォールド型ロボットは、さらに怪獣の巨体を倒そうと一気に攻撃を畳みかける。まるで猫が獲物を追い詰めるように、素早く繰り出される攻撃が怪獣を翻弄していく。だが、怪獣も負けてはいなかった。尾を激しく振り、ロボットの装甲に叩きつける。


「うっ……!」


宗介の視線は怪獣の尾に捕まり、ロボットが大きく揺れ動くのを目撃した。装甲がきしむ音が聞こえ、地面に激しく倒れ込んだロボットは一瞬の隙を見せる。しかし、すぐさまロボットは四肢で踏ん張り、再び起き上がる。


その時、防衛軍の通信が宗介の耳に届いた。近くのスピーカーから流れるその声は緊張感に満ちていた。


「全パイロット、準備完了。スコティッシュフォールド部隊、出撃せよ!」


宗介の目の前に次々と現れるのは、同じ型の巨大ロボット。彼の周囲には、次第に複数のスコティッシュフォールド型ロボットが集まり始めていた。部隊は動き出し、怪獣を包囲していく。


「これが……地球最後の希望ってことか……」


宗介はその光景を見つめ、胸の奥で何かが熱く燃え上がるのを感じた。地球を守るために戦うこのロボットたちの姿が、彼の中に湧き上がる戦う意志を刺激していた。


しかし、その時、通信が入った。


「こちら地球防衛軍司令部。各地の防衛線が次々と突破されています。スコティッシュフォールド部隊は急ぎ北部戦線へ向かってください!」


宗介はその言葉に胸が締め付けられる思いがした。ロボットたちの奮闘にもかかわらず、怪獣軍団の侵攻は止まらないのだ。


「まだ……足りないのか?」


その瞬間、宗介の胸の奥にある決意が固まった。彼は戦場から離れ、破壊された街を歩きながら、地球を守るために何ができるのかを考え続けた。そして、彼の視線の先には、かつて一度は諦めかけた道――パイロットとしての道が待っていた。


「俺も……戦うべきなんだろうか?」


次第に崩壊していく街並みを背に、宗介の決意は少しずつ形を成していく。


次回予告:


宗介の中で芽生えた戦う意志。しかし、彼がスコティッシュフォールド型ロボットのパイロットになるためには、過去の傷と向き合う必要があった。果たして彼は、自らの手で地球を守ることができるのか?

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