第3話 気が付いたら‥‥‥
気が付いたら俺は、太陽が真上にあった。
潮の香りがした。なんか揺れてるみたいだ……
海鳥が空を飛んでいる……
ここは、海の上?
俺の顔を覗き込む異国の人の顔、顔、顔。
「気が付いたかい? 子爵家のお嬢ちゃん」
「いくら、伯爵家のお嬢様のお世話が嫌だからって、海に飛び込むなんて危ないことは止めなよ? タニヤ島は、風光明媚な島だぞ」
「そうだ、リーゼロッテ様が、お前を見つけて拾い上げてくれたんだからな」
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どう言う意味だ。 子爵家の令お嬢? 伯爵家のお嬢様? リーゼロッテ? 誰だ? そいつ!!
「メルリーズ!! あたくしの命令が聞けずに、異世界に逃げ込むなんて良い度胸ですわ。これからみっちり、コキ使ってるやるから、覚悟なさい!!」
この声には聞き覚えがあった。
俺を池に突き落とした金髪美女の声だ。声の方に声をやると、金糸で刺しゅうしてあるドレスを着たあの時の美女が、やはり、片方だけ唇をあげて笑っていやがった。性格ブスだったんだな。俺も女を見る目がないな……
そこで気が付いた!! 俺の身体の違和感!! 小さくなってる!? 股間に手をあてた。あれが無い!!
確かに、俺はメルと呼ばれたよな……?
でもどうして、俺は女になってるんだ?
「ここは何処で、お前、誰?」
金髪美女に聞いたら、なんと顔面に蹴りがきた。
「あたくしのことを忘れたというの? メルリーズ。海に逃げて異世界に潜り込んでいた、あなたのことを見つけて差し上げた、あたくしのことを!?」
金髪美女の伯爵令嬢は、プンプン怒っている。でもやがて、言った。
「仕方ありませんわね、異世界に逃げたあなたは、違う時間軸を数年過ごしてしまったみたいですもの」
「25年だよ!! 俺は25歳の健全な男だ!! ――ところで、何で船の上にいるんだよ!?」
「あたくしの世話係として、いっしょに流刑地のタニヤ島に行く途中ですわ」
「流刑地? あんた、何かやったのか?」
「ちょっと、皇太子様の妃候補に毒を盛っただけです。あっさりバレるのですもの。予定外のことですわ」
とんでもないことを、さらっと言いやがった。
流刑地の快適スローライフ ~追放された悪役令嬢の世話係としてTS転生した俺、島の生活が快適すぎるので満喫してたら、いつの間にか配信されてた件~ 月杜円香 @erisax
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