第60話

すると



「そこの2人、いちゃつくのはいいけどステージでもよろしくね。2人は腕を組むって言うよりも夏樹がふわりの腰を支えてエスコートする感じでね。悠斗たちは、愛菜が悠斗の腕に掴まる感じで。みんなよろしく。」




なんていつから見ていたのか紗奈がそれだけ言って立ち去った。







「えっ、何2人でいちゃついてたの?ずるい。愛菜俺らもいちゃつこうぜ。」


なんていつもの調子の悠斗。








「黙ってたらいいのにね。悠斗って残念なイケメンよね。」



愛菜のその呟きに






私も夏樹も静かに頷いた。




アイドルグループにいそうな甘いマスクをしているのに喋ると隠しきれないチャラさが滲みでるのが勿体ない。







そうこうしているうちに、霧島先輩のコーナーが終わりいよいよ私たちの番がくる。







「じゃあ、愛菜と悠斗よろしくね!」






と紗奈が言うと和テイストの音楽が流れ始め2人が歩き出した。







さっきまでの黄色い声援とはうってかわって、静まり返る会場。





2人に目を奪われているのが裏からでもわかる。



2人とも素人とは思えない振る舞いで、ステージ先端で止まると2人は見つめ合い、どこに隠し持っていたのか悠斗は髪飾りを愛菜につけた。



こんなシナリオなかったよね?

アドリブよね?



そして悠斗が傘を開くとどこでスタンバイしていたのか紙吹雪が舞い



「きれい!!」




と会場が沸く。




紙吹雪が落ち着くといつの間にか愛菜は花魁のように首元を緩めていて色気が半端ない。




さらには悠斗が投げキスなんてするもんだから






「あのイケメン誰?」



「美男美女すぎる。」



「どこのモデル?」



なんて、ざわめき出す。










脱帽レベルだけど、私たちの出番はそんな2人の後であり非常に出にくい。

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