第59話

この秋の新作を着こなして颯爽と歩く霧島先輩。


普段からオーラを感じていたけど、ステージの上の先輩はそれ以上のオーラを纏っており立ち止まるとポーズを決め


「翔くん!!」


という声援に手を振っている。






「やっぱすごいな。霧島先輩。」


と感心している夏樹。





「霧島先輩に劇とはいえハグされたり凛が羨ましいわ。

ときめいたりしなかったの?」


なんて愛菜の質問に





ときめく?


眩しいなとは思ったけど





「そんなことなかったかな。

そもそもいちいちときめいてたら、劇どころじゃなくなるわ。」



と答えれば



「今、全国の女子を敵に回したわよ?」


なんて言われた。







地下室での生活が長い私は、多分思いやったり、愛するという感情が人よりも欠落している。



今の所そのおかげで、感情に振り回されずに済んでいるからそれでいいと思ってる。




「愛菜、もうすぐ俺らだぞ。」



と悠斗が傘を愛菜に渡す。







すでに腕を組む2人の後ろ姿を見ながら




「なんかあの2人お似合いだね。」


と言うと








「俺らもお似合いに見えるかな?」



なんて夏樹が言うから



夏樹の腕に私の腕を絡めて




「見えるかもね。」




と夏樹を見ると





「なんか、ほんとずるいよな。ふわりは。」



なんてよくわからないことを言われた。

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