第49話
一歩踏み入れると、学校にあるとは思えないくらい本格的な茶室で、厳かな空気が漂っていた。
お茶会なんて参加するのは初めてだけど、これでも所作は幼い頃に仕込まれているから、身体が覚えている。
お茶を立てる悠斗の所作の美しさに思わず見惚れてしまう。
茶道の家元の血を注いでいるだけあって、悠斗のまとう空気が他の人と違うのが伝わってくる。
いつものおちゃらけた感じとは想像もできない姿に感心しつつお茶をいただく。
なめらかな舌触りでおいしい。
抹茶独特の香りになんだか心が鎮まる。
至極の一杯をいただいた私たちは茶室を出ると
「悠斗凄かったね。なんか見直しちゃったよ。」
「流石って感じだったよな。」
「思わず見惚れちゃった。」
「まぁ、調子に乗りそうだから本人には言わないけどね。」
なんて、こっそりと褒めた。
並んでいるのは女子ばかりで、なんとなくその理由がわかった気がした。
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