第44話

「みなさん、いつも通りで大丈夫です。2日間頑張りましょう。」



中村先輩の言葉に



「はい!」




とみんなの声が出て揃う。





舞台袖からホール内の様子を見える。

学校にしては広すぎる2000人は入るであろうホールも霧島先輩の効果もあってか満員なのがわかる。




もともと目立つことが好きじゃない上に、こんなに大勢の人の前に立つのは初めてで柄にもなく緊張する。


こんなことで動じていたら両親に小言を言われるに決まっている。




小さく深呼吸をしていると




トントンと肩を叩かれ、振り返ると頬に人差し指がささった。



犯人は霧島先輩で


「大丈夫?いつも通りで大丈夫だよ。」



と通りすがりに声をかけてくれた。





体の力が抜けて、少し気持ちが楽になった。







「それでは、演劇部による人魚姫が始まります。」




アナウンスで幕が上がった。

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