第6話
「なんだ姉ちゃん、そのピストル買うのか?」
鉄砲……ピストルの前で会話していると、店主がこちらにやってきながら聞いてきた。
「いや、あいにくこの手の武器とは縁が無くてな。ただ見ていただけだ」
「なんだそういうことか。ほらよ、買取金だ」
俺が正直に話すと、店主は納得して何かの紙束を渡してきた。
「これは?」
「これ一枚で銀銭十枚の価値がある。銀行に持ってきゃ銀銭十枚に代えてくれるって理由でな。そのままでも使えるぞ。あとはこっちだ。」
そういって店主は袋も手渡してきた。ずっしりとした重さの袋の中ではカチャカチャと金属の擦る音が聞こえる
「さすがに金券だけじゃ払いづれぇだろうからな。端数を現金で用意しておいた。町遊びくらいならこっちを使えばいい。」
「あぁなるほど。助かるよ。」
いいってことよ!っと男はバシバシを俺の背中を叩いて続けた。
「お前さん、
「はっ……?」
「そ、そうなんだよ、アタシも心配でさ!」
「お嬢ならそうだろうな!まいどあり、また来いよ!」
突然の知らない単語に困惑した俺をサクラが素早く手助けしてくれた。その甲斐もあってか違和感なく男は店の奥に入っていった。
「それじゃあ、お金も入りましたし、少し遊んで帰りましょうか!」
オバナの提案に乗るように、俺たちは店を出ていった。
それから俺たちは、サクラ行きつけだという茶屋で休憩することにした。
昔ながらの団子と茶が並んだところで、俺は気になっていたことを切り出した。
「もしかして今の時代は、
「……そうだね」
「当り前のこと、ではありますけどね」
俺の言葉に、サクラは唇をかみしめるように、オバナは目を閉じて言った。
「言うなら“戦勝種族”と“敗戦種族”ですから、負けた側に戦争の責を背負わせるのは、勝った側からすれば当然の行いかもしれません。」
「今この世界は、『
このフウセキは、『戦争が人間の勝利で終わった決め手がほかでもない
「なるほど、神主の言葉はそういうことか」
国が変わるという言葉の真意を理解して、俺は団子に噛みつき串から外す。
「あっうま……差別派の国から、融和派に流れてくることも少なくないのか?」
「そりゃあね、誰だって住みやすいところに住みたいよ。」
「フウセキは周りも融和派の国ですから、ここまで来ることは少ないですけどね。それに……国によっては、有角人の出国を制限することもありますから」
「制限?」
「聞いたことがあるよ、有角人を『命令を聞いて動くだけの存在』か『自分たちとは違う動物か何か』って……自分の物だって認識してる国」
オバナの言葉に最も嫌悪感を示したのはサクラの方だった。
彼女の言葉に出国の制限に合点がいった
「つまり制限とは、厩舎の馬や牛が出ないようにするようなことか。」
「そう、考えられないよね。みんなは物じゃないのにさ。」
そういって湯飲みの中を飲み干したサクラは、皿の上の団子が無くなったのを見て、椅子を立った。
「そろそろ次いこっか。ミドリの服も買わないと」
「そうだな、案内を頼む」
そういって俺も席を立つ。少し歩いたあたりで、オバナが来ていないのに気が付いた。
「ハナ?」
「あっうん!!」
同様に気付いたサクラが声を掛ければ、彼女は驚いたようにすぐに立ち上がった。
「そう……命令に……従わないと……」
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封印術師の見聞旅行 るうど @kinkabyou
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