症例.1 幻視する月

患者背景

 2020年4月19日、帝流県立第七学園高等学校に一足遅れて入学することとなった楼蓮足斗ろうれんたると

 故郷に残した父と兄のことを思えば、早急にTPSを治して学園から卒業したい。そのためにも積極的に授業に取り組もうと考える足斗に話しかけてくる少女が1人。

 少女の名はムネモ。その名の通り女神ムネモシュネのTPVSを患い、完全記憶能力を持つと話した。

 学園のことをあまり知らない足斗に、ムネモは快く案内役を引き受ける。そうして授業を受けつつ、昼休みや放課後にムネモや、教育実習生の徒花零太あだばなれいたと交流を深める足斗。ムネモや徒花とは比較的歳が近いということもあり、すぐに打ち解けることが出来た。

 2人と仲良くなったことで、「自身が患ったTPSについては詳細が未だわからないが、ゆっくり治療していけば良いか」と考え直した足斗は他のクラスメイト達とも交流を深め、充実した学園生活を送っていく。


 ──が、ある日足斗は恐ろしい噂を耳にすることになる。

 「老鴉町ろうやちょうで連続殺人が発生している」と。

 沸き立つクラスメイト、「TPSの力で、我々が犯人を捕まえてやろう!」

 平和な学園生活のため、足斗もムネモを誘い犯人探しに参加しようとするのだが──ムネモは反対した。

 何故?どうして?足斗の問いかけにムネモは答えない。そんなムネモの態度を受けて足斗はある仮説に思い至る。

 「ムネモは殺人事件に関与しているんじゃないか?」

 疑念が拭えない足斗は1人で調査を開始するが──

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医療法人帝流学園英雄診療録 何屋間屋 @nann_ya_kann_ya

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