第3話   苦い想い

チェイスが「アイリーン様、お風呂の湯加減は、どうですか?」とお風呂のドアの前で座った。

アイリーンが「そうね?お風呂は良いんじゃないかしら?」とチェイスに話し掛けた。

チェイスが「ありがたきお言葉」とお辞儀をして去っていった。

夏輝が「おい。俺もお風呂に入りたい」と椅子に座ってくつろいでいると、チェイスが「そんな所で寛ぐものではない。ちゃんと椅子があるではないか」と夏輝に口答えをした。

夏輝が「あぁ?誰に口を聞いているんだ。俺のほうが偉くないのか?」とチェイスに聞いた。

アイリーンがお風呂から出てきて、「あら?まだ居たの?あなた」と夏輝に偉そうに振舞っていた。

夏輝が「お前こそ、そんな所でお風呂に入りやがって、俺だってお風呂に入りたいのに」とぐちゃぐちゃと文句を並べた。

アイリーンが「あら?そんな事私の知ったことではないわ」と笑って居た。

夏輝が仕方なし、お風呂をあきらめて外に出た。

夏輝は「くぅー、こんな所で汚い体のままでいるのは嫌だ。どこか風呂はないのか?」と周りを見渡してみると、男子風呂があり、勇者達が鎧を脱いで、お風呂に入っていく姿が見えた。

夏輝は「ふぅー、久しぶりのお風呂だぜ」と嬉しそうにはしゃいでいた。

勇者たちが「君は、ここらでは見かけない顔だな?どこから来た?」と驚いて話題に上がった。

夏輝が「現実世界からこちらに来ました」と勇者たちに話すと、勇者たちが「わざわざ、此処までくるとは?すごく遠かっただろう?風呂も入ってなかったはずだ。ゆっくりして行くがいい」と優しい長老のようなひげを生やしたおじさんが声を掛けてきた。

夏輝が「ありがとうございます。こんなに良くしてもらったことが無くて、何だか涙が出てきます」と涙を拭っていた。

お風呂場には、エナジードリンクが売っていて、お風呂の後のエナジードリンクは最高だった。

夏輝は「はぁー、生き返った」と思わず笑顔になって、座っていた腰を上げた。

その後のこと、住民が「きゃー、助けて?」と叫んでいるのが聞こえた。

住民に夏輝が「どうしたんですか?そんなに急いで」と尋ねると、「あそこに、魔物がいる。どうか勇者に伝えてくれないか?」と住民が声を掛けた。

夏輝が「俺が勇者です。どうか、気を確かに持ってください。俺が倒しに行ってきます」と話し掛けた。

そこには、魔物たちが暴れて街を壊し、人を襲っていた。

夏輝が「汝の元に、我の力を発動せよ。フィード」と剣を出して、風を起こした。

大きな竜巻が、魔物たちを襲い、街のガレキに頭を打って倒れた。

住民たちが「いいぞ。頑張ってくれ」と声援が聞こえて、魔物の体を切り刻んで倒していった。

そこにアイリーンが来ることはなかったが、何故かうるさいアイツがいないと調子がいまいち出ないなと心の中で夏輝は想っていた。

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